カリフォルニア州議会のBusiness and Professions Committeeは米国時間7月1日、スパムメールを取り締まる2つの法案のうち1つを可決した。
審議は、全米でスパムメール送信を法的に取り締まる動きが高まる中で行われた。複数の州では厳しい反スパム法案の立法化に取り組んでおり、米国議会もスパム関連の多数の法案を検討している。
今回、満場一致で可決した法案は、Kevin Murray議員が提案したSenate Bill 186(SB 186)。一方、否決となった法案は、Debra Bowen議員が提案したSenate Bill 12(SB 12)。
SB 12はスパムメール1件につき500ドルの罰金を提案した。SB 186の最終修正版では、原告は実質損害額に加え、損害賠償を得られる。損害賠償額は、損害額から換算して、スパムメール1件につき1000ドルか、1回のスパムメール行為につき100万ドルかのいずれか少ない方が支払われる。
両法案ともスパム業者に対して罰金を課すものだが、Bowen議員は、「SB 186の最終修正法案では、スパムメールの受取人が『実損害額』を証明しなければならない」ことを指摘した。
Bowen議員はSB 12が可決されなかったのを目の当たりにし、攻撃の矛先を同議員が「法案否決の真犯人」と呼ぶ米Microsoftに向けた。「Microsoftはスパムメールを憎んでいると公言した裏で、本当に厳しい反スパム法案をつぶそうと躍起になっている。その理由は、Microsoftがスパムを撲滅したくないからだ。Microsoftが望んでいることは、どれが『合法的な』スパムメールか判断し、そのような合法的広告メールや広告業者から料金を徴収して、ユーザーの受信箱に広告メールを送信することを許可するつもりだ」(Bowen議員)
これに対してMicrosoftは、Bowen議員の非難が「明らかな誤り」だとしている。同社広報担当者は「Bowen議員はMurray議員の法案について述べていたのではないか」と話す。Murray議員の法案では、スパムメールの発信者ではなく、メールの配達役であるMicrosoftなどのISPは処罰の対象としていないためだ。
なお、スパム法に詳しい法律専門家によると、連邦政府のCommunications Decency Act(通信品位法)の230条では、州法の規定にかかわらず、ISPのスパムメール転送を免責としている。米John Marshall Law Schoolの助教授、David Sorkinは、「実際、SB 186はメールを送信しただけのISPを処罰対象としていないが、連邦法のもとでもISPは処罰されない。ISPにもいくらか責任があるとはいえ、問題を起こした張本人ではないのだ」と述べた。
SB 186は今月中にも立法議会の投票が行われる見通しだが、カリフォルニア州の予算不足から進行が遅れる可能性もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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