ウェブで最も普及している画像形式のGIF(Graphics Interchange Format)が、今月後半に米国で特許切れとなる。GIFで使われる圧縮アルゴリズム、LZW(Lempel-Ziv-Welch)の特許が6月20日に期限を迎えるためだ。ロイヤリティが必要なGIFに対抗して開発されたロイヤリティフリーの画像形式、PNG(Portable Network Graphics)は今後すたれてしまうのだろうか?
LZWの米国特許を所有するのは米Unisys。同社はカナダ、日本、英国、ドイツ、フランス、イタリアでも同特許を取得しており、「来年の期限切れまでは、これらの特許を行使する」(Unisys)と述べている。
PNG仕様書の著者で米ローレンリバモア国立研究所のエンジニア、Glenn Randers-Pehrsonは「UnisysはフリーウェアによるGIFの使用を禁止していた」と語る。「それがPNGが開発された理由だ」(Randers-Pehrson)。つまりGIFが近いうちに特許切れとなることは、ロイヤリティフリーを銘打ったPNGの存在理由がなくなってしまうことを意味する。
しかし、PNGの支援者は「PNGには多くの利点がある」としている。先月にはウェブ技術標準団体のW3C(World Wide Web Consortium)がPNG形式の勧告案第2版を公開し、6月23日までパブリックコメントを求めている。
PNGは技術や知的財産という面ではGIFを上回る。ウェブ開発者の一部は「PNGの画像形式では、画像の部分透過や256色以上の色が使用できる。いずれもGIFでは行えないことだ」とPNGを絶賛する。しかし、PNGの普及度はGIFには及ばず、ウェブの画像形式では少数派となっているのも事実だ。
ウェブ開発者のRay Semiraglioは、PNGが普及しない要因を「ブラウザ市場をほぼ支配している米MicrosoftのInternet Explorer(IE)が、一貫性のない対応をしているためだ」と語る。「私は長年、優れた透過性を持つPNGをウェブ開発で使用することを望んできた。しかし、ユーザーの90%がIEを利用している。ユーザーはIEによるPNGへの不恰好な対応を目にするだけである」(Semiraglio)
なおこの件に関して、Microsoftはコメントを控えている。
W3Cで画像活動リーダーを務めるChris Lilleyは、「PNGがすべてをカバーするわけではない」と語る。「写真の保存はJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式がよいし、GIFはPNGが当初想定していなかったアニメーションに対応している」(同氏)
同氏の言うことは一理ある。しかし、それでもオープンソース開発者やフリーウェアの提供者はPNGを支持している。彼らがGIFのライセンス条件に躊躇しているからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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