米議会でスパムメール対策法案の成立に向けた動きが出ている。米下院議員Richard Burr(共和党、ノースカロライナ州選出)が支持する法案「スパム配布削減法(Reduction in Distribution of Spam Act)」では、スパムメールの発信者に対して、懲役および数百万ドルの罰金を定めている。
同法案はBurr議員のほかにも、委員会議長、業界団体グループなど複数が支援を表明しており、ほぼ確実に下院で承認される見込みだ。Burr議員の担当者は、「引き続き、連携のための最終連絡を行っているところだ」と語っている。
スパムメールに関する法案は、過去5年間のすべての会期で提出されてきたが、今回の法案はかつてないほどの注目を浴びる中で提出された。米連邦通商委員会(FTC)は今月、スパムメールに関する3日間のワークショップを開催し、さらに上院商業委員会も今週、スパムメールの公聴会を開いている。
米AOL Time WarnerのAOL、米MicrosoftのMSNなど、大手ISPの大半は今回の法案をもろ手を挙げて歓迎している。米EarthLinkは、「議会と連携し、アンチスパム法案を今年中に承認させるのを楽しみにしている」と語る。
米Microsoftの連邦政府担当ディレクター、Jack Krumholtzは「特に、不正な電子メールに関して民事および刑事上の罰則が与えられることが素晴らしい。ISPにとっても価値ある施行条件だ」と語る。ちなみに、同社会長のBill Gatesは米国時間5月21日、法制化を含め、スパムへの多面的な取り組みを提唱する手紙を上院議員に送付している。
ISP最大手のAOLはここ何年もスパマーを相手取った訴訟を起こしているが、「(今回の法案は)スパムへの対策にあけくれる我々にとっては、大きな前進だ」と述べている。
しかし、「法案が可決しても何も変わらない」と批判する人々も存在する。槍玉に挙げられているのは、「個人がスパマーに対して起こす訴訟を同法案がサポートしていない」という点である。一部の州では、個人による企業を相手取った訴訟を十分考慮した州法が存在する。しかし、「個人には、連邦政府による、より手厚いサポートが必要」という声が多い。
同法案では、「受信者が電子メールをスパムと見なした場合に、メールの受信を拒否できる」という方法を採用している。これについて反対論者は、「これでは、(受け取りを拒否するための)手間がかかり過ぎ」と批判する。「ユーザーの労力に頼った解決法なので、スパムによる生産性低下の問題は依然として残る」と異を唱えている。
具体的な中身は?
米下院議員のRichard Burrが提出した議案「スパム配布削減法(Reduction in Distribution of Spam Act)」は、下院エネルギー商業委員会の委員長のBilly Tauzin(共和党、ルイジアナ州選出)と、下院司法委員会の委員長のJames Sensenbrenner(共和党、ウィスコンシン州選出)が共同支援している。同議案の主な内容は以下の通り。
なお、迷惑な広告電子メールに対抗する組織団体、CAUCE(Coalition Against Unsolicited Commercial E-mail)は、州やFTCがスパム対策法の施行機関となることについて、「(これらの機関は)本来担当している殺人や詐欺ほどスパムを重要視しない可能性がある」(CAUCEの取締役兼顧問のRay Everett-Church)として異論を唱えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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