全米レコード工業会(RIAA)は米国時間5月12日、インターネット上の著作権侵害を告げる警告書を誤送したとして、送付先のペンシルバニア州立大学に謝罪した。このような警告書の誤送が明らかとなったのは、今回が初めて。RIAAの著作権対象物を検索する自動プログラムの無能ぶりを露呈する結果となった。
事の発端は、RIAAが5月8日にペンシルバニア州立大学の天文学/宇宙物理学部あてに送付した1通の警告書だ。同書ではデジタルミレニアム著作権法(DMCA)を引き合いに出した上で、同学部のFTPサイトの1つで歌手Usherの楽曲を不当に配布していると主張した。さらに該当するFTPサイトと音楽ファイルを削除するよう要求した。
しかし、教員や大学院生が研究の公開や計画の承認に使用するFTPサーバでは、該当ファイルは存在しなかった。同学部でシステム管理者を務めるMatt Soccioは「mp3、wma、ogg、wav、mov、mpgなどの拡張子が付いたファイルを検索したが、今回の警告書に該当するようなものは何も見つからなかった」と語る。
ただし、Soccioは今回の間違いについて、2つほど思い当たる節があるという。それは同学部の名誉教授の1人がPeter Usherという名前だったこと、さらにガンマ線衛星Swiftに関して天文学者がアカペラで合唱した曲の.mp3ファイルが、当該FTPサイトに保存されていたことだ。「Usher」と「.mp3」という2つの組み合わせが、著作権違反を検出するRIAAの自動プログラムにひっかかったことになる。
RIAAは今回の誤送について、「臨時職員が誤って警告書を送付してしまった」と釈明する。
「今回のDMCA警告書を撤回すると同時に、ペンシルバニア州立大学にもお詫びを申し上げたい。通常はこのような間違いを防ぐため、すべての警告状をチェックしている。今回は臨時職員が間違いを犯した上、RIAAの所定手続きに従わなかったために、このような結果となった。過去5年間に何万通もの警告書を送付したが、このような誤送は初めてだ」(RIAA)
また別のお詫びとして、RIAAは疑われたPeter Usherに歌手UsherのCDなどをプレゼントしたという。同大学のスポークスマンのTysen Kendigは、今回の誤送をRIAAの悪意のないミスとした上で、「今後もRIAAやその他の法執行機関に協力していく」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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