米国時間4月25日、「GroksterやMorpheusには、両社のPtoPソフトウェアにより発生した著作権侵害行為の責任はない」との判決が下った。今回の裁判は「著作権の侵害行為は、あくまでユーザーがPtoPソフトウェアを悪用した結果」との見解に基づき、PtoPソフトウェアの提供を違法とするレコード/映画業界の訴えを棄却した。この判決により、次はPtoPソフトウェアのユーザーに火の粉がふりかかる可能性がでてきた。
PtoPシステムの支持者は、今回の判決を勝利として歓迎している。しかし、レコード業界が無償ファイル交換に対して攻撃の手をゆるめる可能性は低い。売り上げ低迷の原因がこれらPtoPソフトウェアを用いたファイル交換にあると考えているからだ。レコード業界は個人ユーザーに責任を求めるようになるだろう。
ちなみに4月24日には、ファイル交換ユーザーの身元開示を後押しするような判決が、ISPの米Verizonに対して下された。Verizonは、ファイル交換ソフトウェアKaZaAを利用して音楽ファイルのダウンロードを提供したユーザーの名前を、14日以内に提出するよう命じられたのだ。
米レコード協会(RIAA)の幹部は「これら2つの判決により、レコード業界が個人の追及を強める可能性がある」と示唆した。RIAAの経営最高責任者(CEO)、Hilary Rosenは「自由にアクセスできるPtoPネットワークにおいて、著作権物を違法にアップロード/ダウンロードする責任が個人にあることが明らかになった。喜ばしいことだ」と語っている。「Verizonの判決は、個人が著作権の侵害行為を行っている場合、その匿名性は維持できないことを明示している」(Rosen)
GroksterやMorpheusなどのPtoPソフトウェアが違法でないとの判決が下ったことで、レコード業界はこれらの技術にほこ先を向けるのが難しくなる。米Gray Cary Ware & Freidenrichの知的所有権担当弁護士のMark Radcliffeは「次に狙われるのは、PtoPソフトウェアで大量のファイル交換を行うヘビーユーザーだ」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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