SARSとの闘いを支えるインターネット

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が「謎の肺炎」として世間を騒がせているが、この脅威に関する初期報告の一部は、医療機関からの発表ではなく、救急治療室担当の医師らがインターネット上で交わした情報にあった。

 香港Prince of Wales病院のTom Buckley医師は3月、電子メールで次のように記している。「Prince of Wales Hospitalでは現在、145の症例を確認している。新規患者(第1次接触)から家族(第2次接触)に感染する傾向にあり、家族との緊密な接触でうつる確率が非常に高い」

 当初、世界は謎に包まれた伝染病よりもイラク戦争に注目していた。その中で、これらの記録はSARSの危険性を示す警告となっている。Buckley医師は3月24日、「肺炎の患者数は日々増加し、3つめの病院が患者の受け入れに備えている」と記している。香港当局は同日、SARS患者数が、10人の死者を含む260人以上に達したと発表。香港ではこれまで、感染者1232人、死者56人を数えている。

 世界の医療コミュニティに警鐘を鳴らす一助となったBuckley医師の報告にはじまり、SARS研究者らは、電子メールやウェブを介して情報交換や共同作業を進めている。こうした手段は、10年前には考えられなかったことだ。

 医学情報の週刊誌New England Journal of Medicineは、通常8週間の準備期間を経て記事を掲載する。しかし、SARSの発生に対応するため、先月はウェブサイトで7つの記事を掲載した。また、世界保健機関(WHO)は、世界の発症数をウェブサイトに掲載し、毎日更新している。米国では、疾病対策予防センター(CDC)のサイトがSARSに関するデータや渡航助言、米国内の州別発症数などを掲載している。また、これまで13人の死者を出し、恐らくアジア外で最もSARSの打撃を受けているトロントでは、保健所のウェブサイトで情報提供などを行っている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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