Yahooとフランスとがナチゆかりの物品をめぐって争う裁判が、新たな展開を見せている。連邦控訴裁が米国時間23日、同社が憲法修正第一条を根拠に、米国内では訴追を免れるとの先の判断を覆したためだ。
第9巡回控訴裁によるこの判決は、Yahooでナチゆかりの物品が売りに出されたことを巡り、4年前にフランスの反ナチ関連団体が同社を提起した訴訟の一部。フランスの裁判所は2000年に、人種差別を連想させる物品の販売もしくは展示を禁止するフランスの法律を根拠に、自社ウェブサーバ上でのフランス国民へのナチ関連の物品販売を規制するようYahooに命じていた。
これに対しYahooは、フランスの裁判所には米国内で運営されるサーバ上に対する権限は一切ないと主張し、主張の正当性を示すべく提訴に踏み切った。同社は2000年、サンタクララ連邦地方裁判所に先手を打って提訴した。同裁判所は2001年11月、Yahooの主張に同意し、フランスの裁判所が米国内での規制を強制することはできないとの判決を下した。同裁判所はさらに、この判断は言論や出版の自由を定めた憲法修正第一条に対する同社の権利を侵すものだと主張した。
Yahooは2001年1月に、ナチやKKK関連品の販売を規制することに同意した。
23日に下された判決では、裁判所はナチ商品に関連するYahooの主張にもフランスの裁判所の主張にも同調しなかった。判決はむしろ手続き上の問題を重視したものとなり、連邦地方裁判所には判断する権利がなかったと主張した。
この裁判に関する著書のあるフォーダム大学ロースクールのJoel Reidenberg教授は、「第9巡回控訴裁は、カリフォルニア連邦地方裁判所には本件に関して審問する権利がないとしている。フランスの当事者を米国の裁判所に引っ張ってきて判決を下すのは公正さを欠いていた」と述べている。
Reidenberg教授は、米国の裁判所が判断を下せるのは、フランスが米国で法の執行を望む場合に限ると付け加えた。これまでのところ、フランスは米国内では訴訟を起こしていない。
Yahooの関係者は、同社の法律担当チームがこの判決について検討を進めている最中であるとして、コメントを差し控えた。
この訴訟は、インターネット上のビジネス慣行と、国際法の盲点とを隔てる一線が曖昧である問題を浮き彫りにしている。インターネットを使えば、世界のどこにいても、ある国に置かれたウェブサイトに接続して、物品を購入したり情報へアクセスできるようになる。しかし、一部の国々では、自国の基準やルールに違反するサイトに対して、これを規制しようとい動きが見られる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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