ウェブパーソナライゼーションを酷評するレポート発表

 売上増を願ってウェブサイト訪問者と個人的な関係を築こうとしている企業は、実際には売上げよりも多くの金額を浪費していると、まもなく発表されるレポートが警告している。

 「Beyond the Personalization Myth(パーソナライゼーション神話を超えて)」と題する米Jupiter Researchによるレポートは、収集した情報に基づいて顧客毎に提供する情報を変えるウェブサイト・パーソナライゼーションについて、「高価で非生産的だ」とこき下ろしている。

 企業はパーソナライゼーション戦略を実装するよりも、サイトの検索やナビゲーションを簡単にするといった、基本的な点に力を注ぐべきだ、と同レポートは示唆している。

 米国時間14日に発表されるこのレポートによれば、「ナビゲーション機能や検索機能に柔軟性があり、使いやすければ、ウェブサイト訪問者の満足度は高まり、サイト運営者が望むような、利益につながる行動をとりやすくなる」という。「ほとんどの場合、快適なナビゲーションは、パーソナライゼーションに取って代わることができる」。

 同レポートは、パーソナライゼーションには効果がないだけでなく、驚くほどコストがかかると批判している。

 サイトをパーソナライズすると、実際にお金を使う顧客よりも、どんなサービスや製品にもお金を出さない訪問者を2倍以上も多く惹き付けてしまう傾向があると、このJupiterの調査は報告している。

 また、パーソナライズ機能付きのウェブサイトを運営するには、これに匹敵するようなダイナミックサイトの運営に比べ、4倍の費用がかかることもわかった。同レポートによれば、費用の大半は、結果を評価したり、ルールを管理したり、システムを最適化するのにかかる人件費だという。それに加えて、米Broadvision、米E.piphany、米Teradata、米IBMや米ATGのようなベンダーのパーソナライゼーションソフトウェアに支払うライセンシングコストが発生する。

 また同調査から、個人情報を引き出そうとするウェブサイトに利用者が根深い疑念を抱いていることが、パーソナライゼーション浸透の障害になっていることもわかった。

 Jupiterが調査した利用者の、4分の1以上が、サイト運営者が個人情報を悪用することを恐れ、ウェブサイトのカスタマイズを避けたと述べた。また、同程度の人が、同じ理由から、ウェブサイトでの個人情報の登録を避けている。

 同レポートには、パーソナライゼーション計画が期待外れに終わった企業の逸話が散りばめられている。

 「あるヘルスケアサイトは、5カ月もかけてサイト全体にシナリオマネジメントを取り入れたが、キャンペーンやシナリオやルールの管理に必要なスタッフの人件費が高すぎると気がついた時はもう手遅れだった。また、もう1つの例として、新しい、パーソナライゼーションエンジンに基づくアーキテクチャを、1年もかけて取り入れた旅行会社が紹介されている。こちらも、飛行距離のチェック、フライトの比較や予約だけを目的としてサイトを訪れる利用者に対して、ユーザープロファイルに合わせたコンテンツやキャンペーンを表示することが無意味であることを、すぐに思い知らされた」と、同レポートには記されている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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