IBMは米国時間5月18日、同社初となるIntel製とNVIDIA製のプロセッサを組み合わせた高性能ハイブリッドコンピュータを発表した。
「IBM iDataPlex Dx360 M3」は、Intelの中央処理装置(CPU)「Xeon」とNVIDIAのグラフィックス処理装置(GPU)「Tesla」を搭載し、他のDx360 M3モジュラーサーバと共にクラスタ化してスーパーコンピュータを構成できるように設計されている。
大手コンピュータ企業が各国で市販されるスーパーコンピュータにNVIDIAのGPUを採用するのは、今回が初となる。
NVIDIAのTesla担当シニアマネージャー、Sumit Gupta氏は5月17日の電話インタビューで、「顧客は今後、IBMが高性能コンピューティングの世界に持ち込むものすべてにアクセスできるようになる」と述べた。
Gupta氏によると、スーパーコンピュータのCPUとGPUは、PCと類似する方法で連携するという。PCの場合、たとえばCPUはアプリケーションの起動やディスクからのファイル呼び出しを行い、GPUは専門性の高い計算タスクを受け持つ。これと同様にスーパーコンピュータでも、多数の水分子の振る舞いを計算するなど、一部の計算集約型タスクでは、CPUよりもGPUのほうが適している場合があると、Gupta氏は述べた。
IBMのディープコンピューティング担当バイスプレジデント、David Turek氏はインタビューの中で、「CPUがシステムの諸活動を組織化するのに対し、GPUは専門屋で、数学的要素の強い計算を行う」と述べた。
IBMにとって、NVIDIAのGPUを搭載する高性能コンピュータを提供するのは初めてだが、ハイブリッド設計については前例がある。Turek氏によると、同社のスーパーコンピュータ「Roadrunner」はハイブリッド型だったという。
「ハイブリッドGPUシステムは、今回が世界初というわけではなく、他社によって何度か納入されてきた。ただし、2つの点で違いがある。第1は時が流れたことで、これにより市場は、GPUが有利な分野、GPUが限定される分野など、GPUに対する見方を成熟させることが可能になった。そして(第2に)、製品がIBMから提供されるという事実は、製品の背後で顧客の構想を支援する相当数の集団を味方に付けることを意味する」(Turek氏)
顧客については、IBMもNVIDIAも現時点で公表していないが、Turek氏によると複数の有名組織だという。「われわれは実際、複数の顧客を抱えており、彼らは大手だ。ウォール街、石油ガス探査、大学、政府研究所などだ」(Turek氏)
価格は公表されていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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