Googleは米国時間5月12日、プログラミングツール「Native Client SDK」の開発者プレビュー版をリリースした。Googleはこのツールを提供することでNative Clientプロジェクトを、さらに広くはクラウドコンピューティングの戦略を、抽象的なアイデアから実際に役立つものへと発展させようとしている。
新しいNative Client SDKはまだ開発者プレビュー版だが、Googleがブラウザ強化のために取り組んでいるNative Client技術を開発者が利用しやすくすることを目指している。
GoogleのシニアソフトウェアエンジニアであるDavid Springer氏は、Googleの開発者向けイベント「Google I/O」を来週に控え、「Native Client SDKプレビュー版には、すぐにアプリケーションを書き始めるのに必要な基本的要素が含まれている」と、同SDKを発表する12日付けのブログ記事で述べた。「われわれは今後数カ月でSDKを迅速にアップデートする予定だ」と、同氏は書いている。
Native Client(略してNaCl)は、コンピュータシステムでネイティブに実行できるようコンパイルされた場合とほぼ同じ速度で、ブラウザがプログラムを実行できることを目標にしている。圧縮された動画の展開や1人称視点シューティングゲームなどのタスクを処理するのに十分な速度で動作することを目指し、しかもプログラムを最初からすべて記述しなくても既存のソフトウェアを手直しして使えるようにする。
NaClは、ウェブをコンピューティングの基本構造の奥深くに組み込むために、Googleが取り組んでいる戦略の1つだ。サンフランシスコで5月19日と20日に開催する予定のGoogle I/Oカンファレンスでは、この取り組みが中心になるだろう。
Google I/Oカンファレンスでは、Googleがクラウドコンピューティングにかける熱い思いを具体化するためのさまざまな関連プロジェクトも取り上げられる。同社のブラウザ「Google Chrome」、ChromeベースのOS、PythonおよびJavaで開発したプログラムをウェブで利用するための「App Engine」サービス、文書作成のための高度な「Google Apps」サービス、さらには「Google Web Toolkit」や、ウェブベースでのJavaScript開発用「Closure Tools」といった細かいテーマにまで及ぶ。同カンファレンスでのもう1つの中心的な話題は、携帯電話をウェブ上で何の遜色もなく使えるものにするために開発された「Android」OSだ。NaClは、スマートフォンで幅広く利用されているARMプロセッサをサポートするために再設計されているが、SDKではまだサポートしていない。
ユーザーがウェブページからNaClモジュールをダウンロードしてもセキュリティの問題が生じないよう、NaClはいろいろな操作を禁止しており、NaClプログラムモジュールの動作は限られた特権でのサンドボックスに限定される。開発者はさまざまな言語を使ってプログラムを記述でき、それを特別なコンパイラがNaClモジュールに変換する仕組みだ。
NaClの最終的な目標は、現在一般的に利用されているJavaScriptやAdobe Systemsの「Flash」以上に、ウェブベースのアプリケーションの処理を高速にすることだ。Googleが開発者を引き寄せることができれば、ウェブおよびクラウドコンピューティングはプログラムを動かすためのより強力な基盤になる可能性を秘めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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