グローバル企業のIBMは、同社従業員が言葉の壁を越えて、コミュニケーションをとれるようにする方法を発見したようだ。
IBMの従業員は現在、文書やウェブページ、さらにインスタントメッセージを英語とそのほか11カ国語の間で瞬時に変換できるテキスト翻訳ソフトウェアを使用している。「n.Fluent」と名付けられたこのソフトウェアは「クラウドソーシング」されている。つまり、170カ国にいる40万人のIBM従業員によってテストされている。
IBM従業員がn.Fluentを使用すると、同ソフトウェアは自らの間違いから学習して、性能を向上させる。IBM全社でn.Fluentを活用することが可能で、IBM社内のボランティアは翻訳された各単語の精度を高める作業を行う。2009年夏のわずか2週間の間に、ボランティアたちは約130万語を処理した。これは1日当たり約10万語に相当する。全体的にみると、n.Fluentはこれまで、IBM従業員のために4000万語以上を翻訳している。
n.Fluentはほかのアプリケーションへのプラグイン、またはアドオンとして機能するため、かなりシームレスに使用することができる。プラグインは、インスタントメッセージをオンザフライで翻訳する。ワープロソフトの文書やそのほかのプレゼンテーションに含まれるテキストは、n.Fluentの1つのフィールドにコピーされ、別のフィールドに瞬時に翻訳結果が表示される。IBM従業員は自分のデスクトップPCやノートPC、さらにはスマートフォンでn.Fluentを使うことができる。
この「全世界対応翻訳ソフトウェア」は現在、英語と中国語(簡体字と繁体字)、韓国語、日本語、フランス語、イタリア語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、アラブ語に対応している。
「地球がより聡明な惑星になるためには、コラボレーションのための共有された語彙が必要である。ビジネスの世界では、特にそうだ」とn.Fluentプロジェクト管理担当のIBM研究者であるDavid Lubensky氏は声明で述べた。「n.Fluentは正にそれを実現できるツールだとわれわれは考えている。n.Fluentは1つの単語を翻訳するたびに、商業の拡大や関係の強化、世界の縮小を促進しているのだ」(Lubensky氏)
もちろん、「Google Translate」など、無料の言語翻訳ツールはすでに存在している。しかし、IBMはn.Fluentをそれよりも優れた選択肢だと考えている。n.Fluentはファイアウォールの後ろで動作するため、より安全である。さらに、ビジネス専門用語の処理も得意である。現在のところ、n.FluentはIBM社内のみで使われているが、IBMの多くの研究プロジェクトと同じように、n.Fluentも社外に公開される可能性が高い。
IBMの広報担当であるAri Fishkind氏によれば、
IBMの広報担当であるAri Fishkind氏は、n.Fluentが外部に公開されるとすればいつになるかについて、決まった日程はないと述べた。「市場には強固なセキュリティを備えた翻訳ツールに対する需要が存在すると考えるのは、妥当なことだろう」とFishkind氏は述べた。「さらに、この種のツールは、それ自体が言語であるといっても過言ではないビジネス環境向けに特別にチューニングされている」(Fishkind氏)
他の言語翻訳ツールは、個々の単語を変換することができる。n.Fluentが成功するかどうかは、同ソフトウェアが全体的な文章や段落、話し言葉をいかに処理するかにかかっている。しかし、IBMのフィールドテストの目的は、それらの目標を達成することである。
「最も重要なのは、実際に言葉を日常的に使用する人々が、n.Fluentの慣用語句や統語法、文脈を絶えず磨き上げていくことだ」とFishkind氏は述べた。「そして、それが今回、クラウドソーシングというアイデアを採用した理由の1つである。これによって、理解可能なだけでなく流暢かつ滑らかでもあるシステムを最終的に構築できる、とわれわれは期待している」(Fishkind氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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