Yahooは、その新たな動きがもたらす恩恵がリスクを上回ることに賭け、ウェブサイトのオペレーションを高速化できる「Traffic Server」という社内ソフトウェアの基礎をなすソースコードを公開した。
Traffic Serverは、ウェブサイトのサービスを利用しようとするユーザーに対し、データやオペレーションをインターネット上でユーザーに近づけることにより機能する。Yahooは、Apache Software Foundation(ASF)が賛助する「インキュベータ」プロジェクトとして、このソースコードを公開した。ASFはオープンソースのプロジェクト管理の経験が豊富な財団で、大規模なデータ処理の分野でYahooが支持しているオープンソースプロジェクト「Hadoop」も、同財団がサイトを管理している。
Yahooのクラウドコンピューティング担当シニアバイスプレジデント、Shelton Shugar氏は米国時間11月3日、カリフォルニア州サンタクララでのCloud Computing Expoの基調講演でTraffic Serverの公開を発表する予定だ。ただし、同ソフトウェアは10月29日にASFに届いていた。
Shugar氏はインタビューの中で次のように述べた。「われわれがTraffic ServerをApacheに寄贈したのは、それが素晴らしいコードだと考えているからだ。Hadoopのときと同じように、Traffic Serverを中心としたコミュニティーを構築することを望んでいる」
Traffic Serverは実戦で鍛えられたパッケージで、20万行以上のC++のコードからなる。Yahooは、2002年のInktomi買収を通じてこのソフトウェアを獲得し、それ以来ずっと使用してきた。Traffic Serverは現在、300億のWebオブジェクトと400テラバイトのデータを毎日配信している。
Yahooのデータサービス担当バイスプレジデントであるChuck Neerdaels氏によると、Traffic ServerのパフォーマンスはまさにYahooが誇れるものであり、これを稼働させているYahooのサーバ数は驚くほど少なく、100台から150台の間に収まっているという。Traffic Serverは、複数のタスクを同時に実行するよう特別に構成されており、その設計は、マルチコアでマルチスレッドのプロセッサを備えた現在のサーバに適している。
ソースコードは、人間がより高度なプログラミング言語で記述するものだ。これがバイナリのマシンコードに翻訳されてからでないと、コンピュータはプログラムを実行できない。オープンソースプロジェクトと結びつくことで、Traffic Serverは誰でも閲覧し、改変し、配布することが可能になる。Microsoftの「Windows」のような、プロプライエタリなソフトウェアの閉ざされた世界とは対照的だ。これで実質的に、Yahooは外部の人々に対し、Traffic Serverを各自の目的で利用することを許可するだけでなく、それを改変することも許可することになる。たとえば、Traffic Serverには、さまざまなタスクに対応できるプラグインを組み込む機能があり、これを利用して改変する方法が考えられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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