Red Hatは米国時間9月3日、多くの種類のクラウドにまたがって利用可能なアプリケーションを作成するためのプログラミングインターフェースを開発するプロジェクト「Deltacloud」を立ち上げた。
同社の最高技術責任者(CTO)を務めるBrian Stevens氏によると、Deltacloudは「クラウド間の仲立ち」を提供することを目指すという。このプロジェクトは将来、企業内の仮想クラウドだけでなく、Amazon.comの「Elastic Compute 2」(EC2)のような外部のクラウドにもAPIを割り当てるドライバを提供することになる。
Stevens氏は、ZDNet UKの取材に対して次のように述べた。「われわれは、ユーザー、ツール、製品から成るクラウドのエコシステムを育てることを望んでいる。開発者らは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを融合させる共通APIを作成できるだろう」
Red Hatの製品および技術部門のプレジデント、Paul Cormier氏は9月2日、Microsoftをはじめとするプロプライエタリなソフトウェアのメーカーが、顧客を自分たちのクラウドプラットフォームの中に囲い込もうとしていると警告した。業界では最近、共通の技術標準を導入してオープンソースのプラットフォームを提供することによりそうした囲い込みを回避する目的で、クラウド間の相互運用性に取り組む動きが始まっている。
Stevens氏によると、DeltacloudのAPIを使えば、アプリケーションやツール、スクリプトを異なるクラウド間にまたがって利用できるという。たとえば、社内のクラウドに1つのインスタンスを立ち上げた後、社外のクラウドに別のインスタンスを作成できるようになるだろう。Deltacloudのウェブポータルが提供するインターフェースにより、ユーザーは複数のクラウド上のインスタンスを行き来し、すべてのクラウドにまたがってイメージの閲覧、管理、供給を実行できる。
同プロジェクトは現在、EC2のほかに仮想プライベートクラウドの「Red Hat Enterprise Virtualization」と「VMware ESX」をサポートしており、Rackspaceのクラウドインフラストラクチャにも間もなく対応する予定だ。
Stevens氏が9月3日に投稿したブログ記事によると、DeltacloudはRepresentational State Transfer(REST)というウェブソフトウェアのアーキテクチャをベースに開発されるという。
Ovumでオープンソースの調査ディレクターを務めるLaurent Lachal氏はZDNet UKの取材に対して、オープンソースのクラウドAPIを開発するプロジェクトはRackspaceの取り組みを含め数多くあり、Deltacloudもそこに加わった1つに過ぎないと述べた。「Red Hatは(オープンソース)コミュニティーがこれを採用してくれることを期待しているが、各種の取り組みにもう1つの取り組みが加わっただけだ」(Lachal氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス