VMwareの最高経営責任者(CEO)を務めるPaul Maritz氏がある講演で、Intelのプロセッサアーキテクチャとそのプロセッサを携帯電話に移植する取り組みを時に鋭く批判していたことが、このほど公開された画質のやや不鮮明な動画でわかった。
5月中旬に開催されたカンファレンスTiEcon 2009で、Maritz氏はIntelのx86アーキテクチャの歴史について簡単に話をした。その際に同氏は、x86が持つ欠点とARMが提示している課題にも触れた。ARMは世界で多くの携帯電話に採用されているプロセッサアーキテクチャで、先頃発表された「Google Chrome OS」を搭載するネットブックにも採用が見込まれている。
この模様を撮影した動画は、TechPulse 360で紹介されている。
「一般ユーザー向けのデバイスが登場したとき、x86の命令セットには1つ問題を抱えていた。とにかく複雑なのだ。これは長年にわたって積み重ねられたもので、そのため電力を大量に消費する。(x86は)電気食いなのだ」と、Maritz氏は動画の中で語っている。同氏がここで言及したIntelのx86は、現在ほぼすべてのPCが採用しているプロセッサアーキテクチャだ。
Maritz氏はさらに「電話のような一般ユーザー向けデバイスでは、そのようなことは許されない。バッテリの持ちが最重要となるからだ」と語った。同氏はIntelで5年間ソフトウェアおよびツールの開発に従事した後、Microsoftの上級幹部を14年間務め、2008年にVMwareに移籍した人物だ。
Maritz氏はまた、IntelがARMプロセッサアーキテクチャをテストし、「(x86より)はるかにシンプルなマイクロプロセッサ」のライセンスを購入した経緯についても説明した。これはIntelによるStrongARMアーキテクチャ(のちのXScale)の開発に言及したものだ。
その後、IntelはStrongARMの開発終了を決めたのだが、Maritz氏によれば、その理由はStrongARM搭載デバイスが「ローエンドで能力も低く、利幅が少ない」からだという。これはIntelのXScale事業を指した発言だが、同事業は2006年にMarvell Technology Groupに売却されている。
Maritz氏は続けて、Intelが同社の原点である「高パフォーマンスで複雑なマイクロプロセッサ」に立ち返ろうとした過程について説明した。しかし、Intelはその後、シンプルなプロセッサの市場に戻るべきであることに気づいたのだとMaritz氏は言う。「このARMなるものは大問題だ。われわれ(Intel)もその市場に戻る必要があるだろう」というわけだ。
Intelの広報担当は、この動画について「Paul Maritz氏は、Intelの将来的な製品計画すべてにおいて、利害関係を持つ人物ではない」とコメントしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス