GNUプロジェクト創設者であるRichard Stallman氏は、「Mono」の使用を控えるよう開発者らに呼びかけた。同オープンソースツールセットの多用に対し、Microsoftが法的な手段を講じる可能性があると主張している。
Monoは、.NET互換のツールセットで、Microsoftのプログラミング言語「C#」をベースとするアプリケーションを、Linux、BSD、UNIX、Mac OS X、Solarisなどのプラットフォーム上で動作できるようにするためのものである。メモアプリケーションである「Tomboy」や写真管理ソフト「F-Spot」など、Monoに依存して動作する有名なオープンソースアプリケーションがいくつか存在する。そのため、「Debian」などのLinuxディストリビューションでは、MonoをOSのデフォルトインストールに含めることを検討中であるとしている。
しかし、Stallman氏は米国時間6月26日、Free Software Foundationが発行する記事で、これは「危険な方向性」であると記した。
「C#に依存するのは危険であるため、その利用を控える必要がある」と同氏は記している。「その危険性とは、Microsoftがいつの日か、ソフトウェア特許によってC#を用いたすべてのフリーソフトを強制排除しようと計画しているかもしれないというものである。この危険性は深刻で、実際にそうなるまでこれを無視しようとするのは愚かすぎる。われわれは、この将来的な危険性から自分自身を守るために予防策を講じる必要がある」(Stallman氏)
Stallman氏は、C#に依存するアプリケーションを作成し使用することは、「無償のリスク」を伴うと述べ、開発者らにC#に依存しない別の方法でアプリケーションを作成するよう呼びかけた。
「フリーのC#ソフトにはできる限り依存しないようにするための、体系的な体制を整備する必要がある」と同氏は記している。
Microsoftに対し29日にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Stallman氏の記事は、Novellが後援するオープンソースプロジェクトであるMonoに関して巻き起こっている論争に向けられたものである。Stallman氏と同様に、Monoの一部のコンポーネントが、Microsoftによる特許侵害訴訟を引き起こす恐れがあると考える人がいる。その一方で、Monoプロジェクト創設者であるMiguel de Icaza氏のように、そのような危険性は存在しないと主張する人もいる。
Stallman氏は、広く使用されているLinuxディストリビューションであるDebianに、デフォルトでMonoが含まれる可能性があることから、26日の記事を執筆することにしたと述べた。Debianの開発者らはこの数週間、同ディストリビューションにMonoをデフォルトで同梱するかもしれないのは、単にそれが、TomboyやF-Spotなど一部の高品質アプリケーションに必要だからだと述べていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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