JavaからSolarisに至るまであらゆるものをオープンソース化し、2008年1月にはオープンソースデータベースのMySQLを取得するなど、Sun Microsystemsは売り上げを増やす手段として、自らフリーソフトウェア団体になろうとしている。
これによって売り上げがどれだけ増えるのか直感的に分かりづらいが、同社の最高経営責任者(CEO)Jonathan Schwartz氏はこの戦略に賭けている。Supernova 2008カンファレンスで講演したSchwartz氏は、フリーソフトウェアが顧客を獲得するのにかかる費用をゼロに抑え、売り上げを促進すると説明した。
Schwartz氏は、過去12カ月間のうちにZFS(オープンソースのストレージファイルシステム)をダウンロードし、Sunに登録した人の所在地を点で示した世界地図を見せた。1つ1つの点は、Sunにとって、獲得費用がゼロの潜在顧客だとSchwartz氏は述べ、MySQLのおかげでこの点が1日あたり10万件増えているとした。
「このうちの多くが、(フリーソフトウェアを稼働するため)ハードウェアを購入するだろう。そして、購入先はSunとは限らない」と同氏。Sunが立ち向かわなければならないのは、多くの顧客がSunをハードウェアベンダーとして選んでくれなかったとき、そして運用費用を節約しようと、フリーソフトウェアのサポートサービスに申し込んでくれなかったときである。
Schwartz氏はフリーソフトウェアがハードウェアの販売を促進する証拠として、「Sun Fire X4500 Server」が好調に売れていることを示した。また、各社の最高情報責任者(CIO)たちと話すと、彼らが自社のITスタッフがMySQLを何度もダウロードしている事実を把握していないとも述べた。
Microsoftのようにソフトウェアに料金を課す企業は四面楚歌の状態にあるとSchwartz氏は述べる。これは長期的には正しいかもしれないが、Microsoft Officeなどの売り上げは善戦している。
Schwartz氏は、SunがMicrosoft Officeに対抗するOpenOffice.orgをリリースしたのは10年前だったと述べる。今や、OpenOfficeは1億1000万人のアクティブユーザーを誇るものの、Sunの売り上げに大きく貢献するほどにはなっていない。
Schwartz氏は「ユーザーはプロダクトを無料で手に入れたがっている・・・ここで唯一問題になるのは自社の製品を選んでもらえるかだ」と述べる。「だが、製品がフリーであることと人気を獲得するということは密接に関係している。この関係は相互排他的ではない」(Schwartz氏)
Schwartz氏はフリーソフトウェアについて、まだ発展の初期段階にあると述べる。「われわれはまだ第2のフェーズにいる。最初のサービスとして、検索が提供されるようになり、これにニュースが続いた。そして今ではデータセンタ用ソフトウェアが対象となっている。今後、ネットワーク化により、多くの商品の価格が影響を受けるようになるだろう。何の条件にも縛られない無料の電話機を想像して欲しい。こうした選択肢がすでにわれわれの目前に広がっているのだ」(Schwartz氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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