IBMは現地時間6月5日、IBMチューリッヒ研究所がベルリンに拠点を置くフラウンホーファー研究所と共同で、パイプで水を通して冷却する仕組みを搭載したマイクロチップの開発を発表した。
このチップのコンポーネントは、シリコンウエハ上に2次元配置ではなく、立体的に積層されている。
IBMチューリッヒ研究所アドバンスト・サーマル・パッケージング・グループのシニアエンジニアで、このチップに2年ほど前から取り組んでいるThomas Brunschwiler氏の説明によると、チップを立体的な積層構造にすることによって、情報の伝送路を多く設けることができ、伝送距離を1000分の1に短縮できるという。
問題は、こうした種類の試作的なチップ構造は大量の熱を発生するということである。
この問題を解決するため、開発チームはパイプで水を流す冷却システムを開発した。このパイプは、人間の髪の毛(50ミクロン)ほどの太さしかなく、各チップレイヤ間を通っている。
Brunschwiler氏によると、漏電を防ぐため、パイプはまずコンポーネントからシリコンウォールで遮断され、それから酸化シリコンのレイヤで遮断されているという。
ここのパイプをレイヤーからレイヤーにかけて、コンポーネントを損傷しないように接続するため、科学者らは金とスズを混合した融点の低いハンダを用いたという。
「この処理によって、接合部分を完全に密封することが可能になった。そのおかげで、優れた冷媒である水を流せるようになった」(Brunschwiler氏)
この水冷式チップはスーパーコンピュータでの使用が計画されていて、商用化は5年から10年先である。Brunschwiler氏は、「だが、その前に、チップにコアレイヤとメモリレイヤを1層ずつ載せ、外部システムから冷却可能なものができるだろう」と述べる。
同社がコンピュータ処理によって発生する熱を冷却するために水を使用するのはこれが初めてではないが、微細スケールでの利用は前例がない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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