2009年のチップは高速化するが、必ずしも熱を多く発生しない。これこそ、IBMが米国時間4月14日に、サムスン電子や東芝などの共同開発パートナー企業とともに行った発表の要旨だ。
この目標を実現するために、IBMアライアンスが使用しているのは「High-k/メタルゲート」と呼ばれる技術だ。現在、Intelも45ナノメートル(nm)プロセッサで同様のプロセス技術を利用している。同アライアンスによると、この技術を用いることにより、45nm技術に比べ、「動作電圧」や電力レベルを維持したまま、最大で35%の性能アップが可能だという。
これにより、サムスン、東芝、Freescale Semiconductor(Motorolaより分離)など、IBMアライアンスのチップメーカーは、高性能ながら熱を多く発生しないチップの開発が可能になる。これは、携帯電話などの小型端末や、多くのサーバを使用するデータセンターにとっては必要な技術進歩だ。IBMによると、この技術により、45nm技術に比べ、動作電圧によって30〜50%の消費電力削減が可能だという。
今回の発表は、画期的偉業というよりは、むしろ発展段階にある技術の最新の成果といった方が正しい。IBMは2007年はじめに、「次世代32nmコンピュータ用チップへのHigh-k/メタルゲート(中略)の実装を迅速化」するための技術を発表した。
ゲートはデジタル回路の基本的な構成要素であるのに対し、High-k/メタルは使用される素材だ。例えば、Intelは45nmプロセッサに、トランジスタの二酸化ケイ素ゲート誘電体の代わりに、ハフニウムと呼ばれるHigh-k素材を使用した。トランジスタが小型化すればするほど、リーク電流は増える。チップメーカーにとって、リーク電流の最小化は必要不可欠だ。そこで、このHigh-k/メタルゲートが役に立つ。
IBMによると、アライアンスのパートナー企業がHigh-k/メタルゲートを利用可能になるのは2009年後半だが、同技術を使用した端末の設計プロセスは今すぐにでも開始可能だという。なお、IBMアライアンスにAMDは含まれていない。というのも、厳密にいうとAMDは、別のアライアンスSilicon-On-Insulator(SOI)にしか参加していないからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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