GNU Affero General Public License(Affero GPL)のバージョン3が米国時間11月19日にリリースされた。これは、通常のGNU General Public License(GPL)では想定していなかったある状況に対応するためのライセンスである。
Affero GPLは、ソフトウェアがネットワークを介してサービスとして提供される状況に対応した具体的な条項を含んでいる。GPLでは、こうした状況をソフトウェアの私的利用として扱い、ユーザーはそのソフトウェアに施した変更を私的範囲にとどめて置くことが可能になっている。これに対して、Affero GPLでは、ソフトウェアがネットワークサービスとして提供される場合、ソフトウェアのユーザーはそのソフトウェアをダウンロードできるようになっていなければならないという要件をプログラマーが付け加えることが可能になる。
Free Software Foundation(FSF)がAffero GPLを19日にリリースした。FSFは、伝統的なソフトウェア世界にある独占所有に伴う制約を回避することを目的に、Richard Stallman氏が1980年代に設立した団体。同団体は2007年に入ってから同ライセンスのドラフト版をリリースしていた。
Googleなどの企業が、カスタマイズしたオープンソースソフトウェアを使ってオンラインビジネスを大々的に展開しているが、それを共有する必要がないという現状を考えれば、Affero GPLの策定は時宜を得たものだ。しかし、知的財産を専門とする弁護士でGPLv3の策定にも関わったEben Moglen氏は、企業がGPLソフトウェアを一方的に利用するだけの場合、これとは別の圧力が発生する可能性があると述べる。
Moglen氏は5月、「自社のビジネスモデルを守ろうと思うなら、その世界の模範的市民でなければならない。出し惜しみすれば、人々の権利を守るための社会的圧力が強まり、自社の権利が制約されることになるだろう。Googleの行動次第だ」と述べている。
FSFはAffero GPLの内容をGPLバージョン3に盛り込むことを考えていたが、独立したそれぞれのライセンスとしてリリースすることを選択した。その結果、すでに数多く存在していたフリーやオープンソースプログラマー向けライセンスがまた一つ増え、ライセンス選択の複雑さも増した。これについて、FSFは、GPL下で書かれたコードとAffero GPL下のコードは状況によっては組み合わせることができるかもしれないと説明している。
FSFによるAffero GPLの発表はこちら。GPLに関するFAQはこちら。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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