シカゴ発--Adobe Systemsのプラットフォーム戦略の要はAIRにある。
Adobe Integrated Runtime(AIR)は無償ダウンロードでき、ウェブアプリケーションをデスクトップで実行できるようにするものだ。AIRアプリケーションのおかげでユーザーはオフラインで作業することができ、グラフィックスやテキストといったアイテムをウェブアプリケーションとデスクトップアプリケーションの間でドラッグ&ドロップできる。
AIRはまだベータ版だが、Adobeやその他の多くのソフトウェア開発業者はすでにAIRを使用したアプリケーションを開発している。Adobeのプラットフォームビジネスの観点から見ると、AIRによって同社はウェブドキュメントとウェブ開発ツールへの投資を異なるOSにまたがるデスクトップに拡張することができる。
開発者の関心を引こうとMicrosoftやJavaのベンダーと真っ向から勝負するのではなく、Adobeの主たる注力分野はウェブのテクノロジとサービスであると、チーフソフトウェアアーキテクトのKevin Lynch氏は米国時間10月1日、当地で開催されたAdobe主催のMax 2007カンファレンスで語った。
「Microsoftは.NETコミュニティーをウェブに移行しようとしている。逆にわれわれはより大きなウェブコミュニティをデスクトップに移行することに労力を注いでいる。これらは2つの異なるアプローチである。正面から対立するものではなく、開発者の2つのグループがあるということに過ぎない。われわれはウェブに賭けている」(Lynch氏)
これまでのところ、このアプローチはある程度の訴求力を持っている。まだベータ版だが、すでに数百ものAIRアプリケーションが開発され、さらに多くのアプリケーションが続々と開発される見込みだ。
eBayはAIRアプリケーションの開発に取り組んだ初期の企業の1つであり、ユーザーが自分のデスクトップからeBayで品物を売買できるアプリケーションを開発した。
Disneyは10月1日のカンファレンスで、旅行会社がDisneyテーマパークへの休暇旅行を予約するためのアプリケーション(Frog Designと共同開発)を披露した。
一方、ビジネスアプリケーションの世界もある程度の関心を示している。
Business ObjectsはAIRを利用したダッシュボードアプリケーションを開発中であると発表した。さらにSAPは同社のビジネスインテリジェンスサーバに接続できるプレゼンテーションアプリケーションのプロトタイプを発表した。
Adobeの幹部は10月1日、アプリケーションの第一派はコンシューマーを対象としたメディアアプリケーションになるだろうと語った。同社はデスクトップマシンでビデオを視聴できる「Adobe Media Player」を開発し、ユーザーがAIRをダウンロードしたくなるようなコンテンツを取得したいと望んでいる。
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