ついにペタフロップスの時代が始まった。
IBMが、スーパーコンピュータ「Blue Gene」の最新モデル「Blue Gene/P」を開発した。Blue Gene/Pは、3ペタフロップス(毎秒3000兆回の浮動小数点演算を実行)以上の処理速度を実現する予定だという。同機種は、実働状況で、1ペタフロップス以上の処理速度で連続使用できるように設計されている。
Blue Gene/Pは、コンピューティング分野において重大なマイルストーンとなる。2006年11月には、「Blue Gene/L」が世界のスーパーコンピュータランキングで第1位にランクされた。Blue Gene/Lの連続使用時の最高処理速度は、280テラフロップス(1テラフロップスは毎秒1兆回の浮動小数点演算を実行)を超える。
Blue Gene/Pの開発により、ドイツのドレスデンで今週開催のInternational Supercomputing Conference(ISC)で発表されるTop 500 Supercomputer(世界のスーパーコンピュータトップ500ランキング)で、IBMが最上位にランクされるのは確実のようだ。2006年11月に発表された前回のランキングでは、93機種のIBM製コンピュータがランク入りし、そのうちの4機種がトップ10入りを果たした。
米エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所(ANL)が2007年中に、Blue Gene/Pを最初に導入することを予定している。またドイツでも、研究機関であるMax Planck SocietyやForschungszentrum Julich研究センターが2007年後半にBlue Gene/Pの導入を開始する予定。Blue Gene/Pの導入を予定するそのほかの機関としては、ストニーブルック大学、ブルックヘブン国立研究所(ニューヨーク北部にある研究機関で、過去に他のプロジェクトでIBMと提携した)、英国チェシャー州にある科学技術施設研究会議が挙げられる。
大半の最新スーパーコンピュータと同様、Blue Gene/Pもクラスタで構成された数ラックのサーバで構成されており、全世界の天候パターンのグラフィックシミュレーションが可能なプログラムの実行といった大規模なコンピューティングタスクの実行が可能。
こうしたスーパーコンピュータ向けに設計されたテクノロジは、メインストリームに活用されるようになり、一方で従来型の技術やコンポーネントはスーパーコンピュータを構築するコストを削減するために使用される。
Blue Gene/Pに採用されるチップは、それぞれが850MHzで稼働する「PowerPC 450」のコアを4個搭載している。2×2フィートの基盤に32個のBlue Gene/Pチップが搭載され、処理能力は435BOPSとなっている。この個盤を高さ6フィート(約1.8m)のラックに32枚搭載する。
Blue Gene/Lに採用されているチップには、700MHzで稼働するPowerPCコアが搭載されている。
IBMによると、Blue Gene/Pで1ペタフロップスを実現するには、合計で29万4912個のプロセッサと72個のラックが必要になるという。3ペタフロップスに達するためには、216個のラッククラスタに88万4736個のプロセッサが必要になるという。チップとそのほかのコンポーネントとは、高速光ネットワークで接続されている。
IBMのほかにも複数の企業が今週ドレスデンで、スーパーコンピュータの完成を大々的に発表する見通しだ。Sun MicrosystemsはISCで、同社のスーパーコンピュータ「Constellation System」を披露する予定となっている。Constellation Systemは大幅な性能向上を可能にするスイッチングアーキテクチャを採用するという。最初のConstellation Systemは10月までに完成する計画で、ピーク性能で500テラフロップスを実現する予定だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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