アリやカブトムシが外骨格を持つように、60個や80個といった大量のコアを搭載するマルチコアチップにも外骨格が必要となりそうだ。
IntelのTera-Scale Computing Research Program担当共同ディレクターJerry Bautista氏によると、現在、Intelの研究者らは、コンピュータメーカーやソフトウェア開発者らが、大量のコアを搭載するマルチコアチップにより簡単に適応できるようにするため、それらのチップの複雑な機能性を意識させないための手段を模索しているという。
また同氏によると、これらのマルチコアチップには、現在発売されている大半のIntel製サーバ、PC向けチップと同様にx86アーキテクチャのプロセッシングコアが搭載されることになるだろうが、x86コア以外にも数種類のコアが搭載される可能性が高いという。例えば、64個のコアを搭載するチップには、42個のx86コア、18個のアクセラレータ、4個の組込型グラフィックコアが搭載されるといった具合だ。
これまでも、ClearSpeed Technology、Azul Systems、理化学研究所など、複数の企業や研究所が多数のコアを搭載したチップを開発してきた。例えば、ClearSpeedは96個のコアを搭載するチップを開発している。しかし、それらのコアが実行できるのは特定の種類のオペレーションに限られている。
Intelは2006年に、80個の演算コアを搭載したチップのプロトタイプを発表した。半導体業界はこの偉業に注目したが、いくつかの疑問も急浮上した。それらの疑問とは、第1にIntelはx86コアを搭載したマルチコアチップを発売するのか(プロトタイプにはx86コアは搭載されていなかった)、第2にこれらのチップは既存のソフトウェアやオペレーティングシステム(OS)に対応しているのか、第3にデータトラフィック、熱、レーテンシーNO 問題をどのように解決するか、の3点だ。
これらの疑問について、Intelは認識しているとしたうえで、現在取り組んでいる最中だと回答した。
この点について、6月にサンディエゴで開催されたProgramming Language Design and Implementation Conferenceで発表された研究論文の中である提案がなされた。それは、異種マルチコアチップ内のすべてのコアを外骨格のようなもので覆い、それらすべてのコアを複数の従来型x86コア、あるいは1個の大きなコアに見立てるというものだ。
Bautista氏は、「それは、いわば1つのリソース貯蔵庫のようになり、ランタイムがその中から適当と思うものを使用する」と述べ、「これはプログラミングを簡略化するためだ」と付け加えた。
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