NTTコミュニケーションズは2月28日、総務省が2006年度に実施している「電子タグの高度利活用技術に関する研究開発」の一環として、商品に取り付けられた電子タグから、メーカー、店舗、顧客に対し最適な情報を、セキュリティを担保したうえで個別に提供する情報管理技術の実証実験を行うと発表した。3月1日から13日まで、伊勢丹新宿店本館2階「クローバーショップ」にて実施する。
今回の実験では、NTTコムが開発したプライバシー制御システムを利用し、商品の購買状況のデータベースなど、商品に取り付けられた電子タグ情報に対して、販売員やバイヤー、マーケティング担当者などのシステム利用者が持つ電子タグ(会員証タグ)を利用してアクセス制御を行い、その利用者がアクセス権限を持った情報のみをセキュアな環境下で提供することを検証する。
具体的には、4種類の利用者(メーカーA、メーカーB、バイヤー、販売店)を想定して、利用者ごとに発行する会員証タグと、利用者ごとに用意した専用端末を利用し、「誰がどの端末からアクセスしたか」に応じて、複数のデータベースから取得する情報のアクセス制御を行う。複雑なアクセス権限と複数の参照先データベースを用意することで、より実用的な環境としたうえで、必要な情報を適切な相手にのみ開示し、適切にアクセス制御できることを検証する。
たとえば、フロア全体責任者にのみブランド別の販売数ランキングを提供したり、販売員に担当ブランドに限定した試着ランキングを提供するなど、販売員やメーカーの営業担当などの関係者に、自分の権限に応じたマーケティング情報を提供する。
また、ネットワーク上のセキュリティを確保するために、実施場所のシステムと、NTTコムの検証室のシステム間でやり取りされるデータを、IPv6ネットワーク上にて暗号化する。特にバイヤー、メーカー、販売店など、異なる利用者からの接続を考慮し、クライアントシステムごとに暗号化を行う。暗号化には複数のアーキテクチャを採用し、それぞれのパケット通信量や成功率について計測し、比較、検証を行う。
このほか、デジタルファッションが開発したコーディネーションシステム「HAOREBA(ハオレバ)」を用いたバーチャル試着室を活用し、電子タグの活用による店頭での未来型商品提案の可能性も検証する。
顧客が店舗や試着室にある電子タグ読み取り機器に、自分の気に入った洋服をかざすと、ディスプレイ上にその洋服のブランドプロフィールや材質、サイズや色の種類といった情報や、自分が選んだ服に対するコーディネートの提案が表示されるほか、自分の選んだ複数の服を画面上のマネキンに着せることができる。
NTTコムでは、今回の実証実験で得た成果を学会や標準活動機関などに報告し、広く標準化を進め、電子タグの高度利活用に資するべく研究を進めるほか、実験の成果を踏まえ、電子タグを利用して店舗を活性化するサービスを検討するとしている。
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