IBMは現在、全世界に分散している開発チーム向けプログラミングツールの推進を目的とした「Jazz」と呼ばれるオープンソースプロジェクトに取り組んでいる。
IBMは2006年6月からJazz.netで開始予定の同プロジェクトは、IBM ResearchとIBM Rationalツール部門が現在進めている、地理的に分散していても共同開発を可能にするソフトウェア開発に関する取り組みがベースとなる。
同プロジェクトの主要目的は、このところ一般化しつつある分散型のソフトウェア開発に関する標準を策定することにある、とIBM RationalのゼネラルマネージャーであるDanny Sabbah氏は語る。
開発ツールはこれまで、個々のプログラマーの生産性向上に主眼が置かれてきた。しかし、ソフトウェア開発の複雑化に伴い、IBMやMicrosoftなどのソフトウェアメーカーは、アプリケーション要件の収集からテストに至るまで、開発のライフサイクル全体に対応する製品開発に重点を置いてきた。
さらに、最近は海外の開発チームや別の場所にいるビジネスパートナーと連携しながらソフト開発を行うケースが増えつつある、とSabbah氏は指摘する。
Sabbah氏は「(ソフトウェアの)開発方法について、根本的に考え直す必要がある」とした上で、「われわれはもはや、個々の開発ツールへの対処は考えていない。それは当然だ。それよりも、ソフトウェア開発プロセス全体の理解を深めることの方がはるかに興味深い」と述べた。
Jazzソフトウェアは、既存のコラボレーションツールとプロトコルを分散型開発に適合することにより、協調型ソフトウェアエンジニアリングの質の向上を図ることを目的としている。
例えば、Jazzソフトウェアを使用することにより、プログラマーは同僚にソースコード付きのインスタントメッセージを送信できる。受信者は、静的なテキストを読まずに、そのメッセージをクリックするだけで、そのコードが、アプリケーションや元の要件、関連したテストのどの部分に当てはまるのかを確認できる。
Sabbah氏は、現在IBMは、Jazzソフトウェアをアドオン製品によって拡張したり、家庭用電子機器向けのコード開発といった特別な用途にカスタマイズできるようにするためのモデルを構築していると述べる。
Sabbah氏によると、IBMは6月に、JazzがIBMの既存のRational開発スイートと今後どのように連携していくかについても話し合う予定だという。同氏は、Jazz.netで機能性の高い有料バージョンに加え、無料版ソフトウェアも提供することになると予想している。
現在、市場は全体として、インターネットを通じて作業する開発チームが利用しやすいように開発ツールを調整する傾向にあり、Jazzはその傾向を反映している、と調査会社RedMonkのアナリストであるStephen O'Grady氏は指摘する。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス