宇宙誕生の究明を目的として2013年に打ち上げ予定のNASAの「ジェームズ・ ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)」の開発に、IBMのソフトウェアが採用されることになった。
「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)」の後継となるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡には、長さ21フィート(約6.4m)の折りたたみ式主鏡や近赤外カメラなど、最先端の技術および機器が搭載される予定である。
同プロジェクトでは、望遠鏡の操作とデータの収集および送信を支援する、20万行におよぶC++コードといったソフトウェアも重要な役割を担う。
エンジニアらはコードを1行ずつ記述するのではなく、システム全体の設計図としても利用できる、ソフトウェアの詳細なモデルを作成する。IBMによると同社のRational部門が構築した開発ツールソフトウェアは、自動的にコードを生成するという。
IBMフェロー兼Rational部門チーフサイエンティストのGrady Booch氏は、米国時間1月19日に発表されたNASAとの契約を通して、標準的なモデリング手法を検証し、リアルタイムシステムにモデリング手法を適用していくと述べた。Booch氏は、Unified Modeling Language(UML)の共同開発者でもある。UMLから派生した言語もNASAプロジェクトに採用される予定である。
「これは非常に難しいソフトウェアの問題を含んでいる。NASAが打ち上げるものはますますソフトウェアへの依存性が高まってきている。そしてそれは宇宙に打ち上げて起動すればよいだけという問題ではないのだ」とBooch氏は述べた。
モデリング手法が標準化されれば、NASAやヨーロッパおよびカナダの宇宙機関における50名のプログラマーらの共同作業が簡便化され、その開発時間が短縮されるだろう、と同氏は付け加えた。
モデリングはもう何年も前から存在している。UMLが最初に標準化されたのは1997年である。しかしEmbedded Market Forecastersの主席アナリストJerry Krasner氏によると、独自の手法を使用するプログラマが多く、UMLはまだ慣例的には利用されていない状態であるという。
Krasner氏は、UML規格の最新バージョンであるUML 2.0を推奨している。これを利用すると開発が迅速になり、また複雑なシステムの変更が容易になるという。
「私がデトロイトなどへ行って(自動車業界の人々に対し)これを紹介すると、自分がまるで山から下りてきたモーゼであるかのような反応が返ってくる。『本当にそんなことができるのか?』と人々は聞くのだ」と同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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