ある調査によれば、ホワイトカラーの仕事時間における会議の割合は20〜30%もあるのだそうだ。会議の生産性が上がり時間を短縮することができれば、会社の生産性があがるのではないか――。
この問題に挑んだのが、2002年度のIPAの天才プログラマー/スーパークリエータにも選ばれたサルガッソーの代表取締役を務める鈴木健氏だ。このバミューダトライアングルで有名なミステリアスな海域の名前を冠する会社は、12月12日にASPで提供される会議支援ツール「Sargasso eXtreme Meeting」(略称Sargasso XM)のベータ版を公開した。鈴木氏によれば、この究極の会議法を実践するツール使えば「あっという間に会議が短くなる」という。
一般に会議を運営する問題には「長い、決まらない、迷走する」といった議事進行の問題や「準備が大変、結論が実行されない」といった作業管理の問題がある。しかし、これは会議を議論の場として実施していることからくる問題なのかもしれない。
そもそも以前に務めていた会社で、納期に間に合わないシステムの開発によってデスマーチ(死の行進)の状態に陥り、頻繁に行われる非効率な会議にうんざりしたのが、鈴木氏が会議の効率的な手法を考える発端となった。
鈴木氏は「会議とは、“議事録”を共同で作成する作業」と再定義し、参加者全員で議事録を完成させることを会議の手法としたシステムの開発を思いつく。この『議事録ドリブン』の会議手法を実現するため、Sargasso XMでは効率的に議事録を作成するための機能が実装されている。
Sargasso XMの機能はいたってシンプルだ。ユーザーは会議を始めるにあたってブラウザからSargasso XMにログインし、議事録(最初はアジェンダとなる)を作成して、招集したいSargasso XMのユーザーに知らせればいい。会議の実施中に、議事録にそれぞれの「意見」を書き加える。そこから導かれた「結論」「ToDo」を一目見でわかるように整理でき、ToDoにはそのタスクを実行する担当者と確認する確認者、もちろんタスクの内容や期限などを設定できる。つまり、会議の開催から議事録の作成までができる会議支援ツールと、ToDoのようなタスク管理ツールとしての両面を併せ持ったものとなっている。
「テキストで書かれた会議の議事録では、結論があいまいで齟齬が生じてしまうことがある。それに、決定したタスクをトラッキングできないという問題もある。たとえ、テキストで残っていたとしても、そのタスクを指示された側も指示した側も忘れてしまうことがある」(鈴木氏)
Sargasso XMではこういったことを防ぐために、会議で決定したToDoがそのままユーザーのタスク管理機能に自動的に組み込まれ、タスクの担当者も確認者もそのタスクをトラッキングできるようになっている。もちろん、そのタスクが発生した会議の議事録もすぐに参照できる。タスクで問題が生じれば、それをそのまま次の会議の議題として議事録に組み込むことができる。
そもそもeXtreme Meetingとは、Kent Beckらによって提唱されたソフトウェア開発の手法であるeXtreme Programmingにインスパイアされて命名したものだという。たとえば、eXtreme Programmingでは、プログラムのソースコードを共有して、プログラマーが誰でもいつでもプログラムコードを書き換えられることを実践している。eXtreme Meetingでも議事録を会議の出席者全員が共有し、誰もが後からいつでも書き換えられるようにしているという。もちろん、悪意ある変更もあるかもしれないが、「変更のログをとっているので、問題ない」(鈴木氏)
Sargasso XMは定期的に開催される進捗会議のような会議に向いており、「議論をして何らかの結論を出すものであれば使える」(鈴木氏)という。正式版は有料のサービスとして提供することを検討中だ。
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