Open Source Development Labs(OSDL)のリーダーは米国時間9月20日、現行のGNU General Public License(GPL)の適用対象ソフトウェアが、現在策定中である次版のライセンスの適用対象ソフトウェアとどう関係することになるのかについて、Free Software Foundation(FSF)は早急に説明する必要があると述べた。
GPLは、オープンソースおよびフリーソフトウェアの分野における数え切れないほどのプロジェクトに適用されている。例としてはLinuxカーネルが最もよく知られているものの、その他にGCCコンパイラ、Sambaファイルサーバソフトウェア、MySQLデータベースといった大規模プロジェクトにも適用されている。GPLバージョン2(GPLv2)は1991年に公開されたが、FSFはソフトウェア特許やデジタル権利管理といった新たな問題に対応するために、その後継となるバージョン(GPLv3)の草案を策定中である。
OSDLの最高経営責任者(CEO)を務めるStuart Cohen氏によれば、FSFの法律顧問を務めるEben Moglen氏は9月19日と20日に、オープンソースに賛同する企業で構成されるCommittee Bのメンバーとシカゴでミーティングを行ったという。Cohen氏は、このミーティングにおいて、これまでに数多くの関係者からOSDLに対して寄せられていた問題、すなわちGPLv2ソフトウェアとGPLv3ソフトウェアはどのようにして共存するのかという問題が提起されたと述べた。
「われわれは、この問題を9カ月にわたって検討してきた。もう具体的なことを決定する時期にきている。FSFはもう結論を出し、どのような規則が適用されることになるのかを明らかにすべきだ」(Cohen氏)
しかしCohen氏とは異なる判断をしているMoglen氏は、この問題を明確にすることは当面ないだろうと示唆した。
Moglen氏はCNET News.comに対して、「GPLv3の最終的な条項が明らかにならないうちに、GPLv2の適用対象コードとGPLv3の適用対象コードとの関係についてコメントすることは、時期尚早であるというのが私の意見だ」と述べている。
Moglen氏が、GPLv3に対して意見を反映させたい企業からのプレッシャに対峙し、自身の立場を明確にしたのはこれが初めてではない。また同氏は、GPLv3の現行草案には受け入れがたい特許条項が含まれているというHewlett-Packardの懸念を一蹴したこともある。
Cohen氏は、シカゴでのミーティングにおいて、GPLv2とGPLv3の関連が議論されたと述べた。同氏は、Committee Bのメンバー47社のうち、同ミーティングに参加したのは、HP、IBM、Apple Computer、Novell、Trolltech、Red Hat、日立であったと付け加えた。これは、このライセンス問題がコンピュータ業界において重要であるということの表れである。
OSDLは、数々のコンピュータ会社が資金を提供しているコンソーシアムであり、Linuxの生みの親であり、リーダーでもあるLinus Torvalds氏も所属している。Torvalds氏はGPLv3に対して大きな反感を持っていると表明しており、FSFのやり方を痛烈に批判している。
FSFはプログラマに対して、開発したソフトウェアにGPLv2を適用するのか、それ以降のバージョンを適用するのかをライセンス中で明確に定義することを勧めている。一方、Torvalds氏は、GPLv2のみを使用すると明言している。
FSFの創設者であるRichard Stallman氏もまた、OSDLを批判している。同氏は9月14日、特許分野に対する影響力をオープンソースプログラミングに与えるためのOSDLプロジェクトを非難し、「何もしないほうがまだましだ」ということになる恐れがあると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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