マイクロソフト、新しいID管理技術「Windows CardSpace」を発表

文:Joris Evers(CNET News.com) 翻訳校正:藤原聡美、福岡洋一2006年09月14日 21時11分

 カリフォルニア州サンタクララ発--Microsoftによると、「Windows Vista」では新しいID管理技術によって企業のアクセス管理の煩雑さが解消されることになりそうだ。

 MicrosoftのIDおよびアクセスアーキテクトであるKim Cameron氏は、当地で開催されたDigital ID Worldカンファレンスで、米国時間9月13日にプレゼンテーションを行った。同氏によると、「Windows CardSpace」(開発コード名「InfoCard」)技術を利用すれば、組織に属する個人が、IT部門を巻き込むことなく、外部の人間に社内ネットワークへのアクセス権を与えることができるという。

 「企業内におけるインフォメーションカードの主な役割は、アクセス管理を情報資源の所有者に委譲することだ」と、Cameron氏は述べた。「アクセス管理ポリシーの設定が、自然かつ直感的に、視覚的プロセスでできるようになる」

 現在のシステムだと、企業が持つ情報資源へのアクセス権を第三者に与えることは、危険を伴う、緊張を強いられる作業になっている、とCameron氏は話す。しかし、CardSpaceを利用すれば、組織の中で一定の情報資源を持つ者が自らリスク評価を行い、外部にいる特定の相手に情報資源を簡単に公開できるのだという。

 「信頼とは局所的なものだと私は思っている。たとえ上位の人間の監督下であっても、ユーザー自身がアクセス権の付与を簡単に決められるようにすることが大切だ」(Cameron氏)

 今のID管理技術は効率性に欠け、何重にもかぶさった煩雑な手続きを繰り返している、とCameron氏は言う。特に、技術的に非常に複雑なため、アクセス管理に関係する作業はどんなものでも専門の部署が扱うことになってしまう。

 「実際、ハードルが高すぎるため、ビジネスを担う人たちはやりたいことを自分で直接やることができずにいる。もし、われわれがこのまま、官僚風の中央集権的なやり方でID管理技術の開発を続ければ、ユーザーが手にするのはますます複雑さを増したソリューションでしかない」

 CardSpaceは、「Microsoft .NET Framework version 3.0」のコンポーネントの1つで、以前は「WinFX」と呼ばれていた。Microsoftは、デジタルIDをもっと簡単かつ安全に利用できるようにし、ユーザー名とパスワードを使う方法に代わる、インターネット上で個人を特定するための手段を提供するために、この技術の開発を進めてきた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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