検索ランキングや検索精度に関する新技術開発に取り組むMicrosoftの研究者が、成果を発表した。
Microsoftの研究者グループが発表した2件の研究論文によると、特定のコンテンツの閲覧およびクリックスルーに関して、検索結果の妥当性を分析する同社の新たな技術は、検索ランキングに用いるアルゴリズムを向上させるものだという。
Microsoft ResearchのMining, Search and Navigation Groupに所属するEugene Agichtein氏は、「今日利用されている検索エンジンの大半は、コンテンツに対するユーザーの問い合わせとウェブページのリンク構造を照らし合わせて結果の一覧を表示するという、2方向のアプローチを用いている。われわれが開発に取り組んでいるのは、ここにユーザー自身を含める3方向のアプローチだ。こうした新たな技法によって、検索におけるエクスペリエンスが向上すると考えられる」と述べた。
8月6日から11日にかけて、シアトルで国際年次イベント「Association for Computing Machinery's Special Interest Group on Information Retrieval(ACM SIGIR 2006)」が開催されている。第29回目となる今回のイベントでは、Microsoftの研究者と各大学の研究者から成る13のグループが研究の成果を発表している。
同イベントで発表された論文のうち、「ウェブ検索結果の優先度を予測するためのユーザーインタラクションモデル研究(Learning User Interaction Models for Predicting Web Search Results Preferences)」と題されたものは、最初の検索結果ページにおけるクリックスルー以降のユーザーの行動を追跡する新技術について解説している。
研究者らは、所定のページに複数のユーザーが「とどまっていた」合計時間や、ユーザーが各ページの閲覧に費やす平均時間から見て最も長い「滞在時間」を過ごしたウェブページ、ドメイン内で検索された単語を保有する率の高いページに対する閲覧時間といった要素を応用して、新たな技術を開発した。検索利用者によってクリックされた検索フレーズやドメイン名、ページタイトル、サマリーなどに共通する単語の割合に、研究者らは注目したという。
「ウェブの検索環境は本来的に雑音が多いが、『群衆の知恵』を活用すれば、ユーザーのコミュニケーション動向を正確に把握することができる。われわれの技法は、これまで使用されてきた技法よりも高い精度で、ウェブ検索結果の選択の妥当性を自動的に予測するものだ」と、Microsoftの研究グループは論文に記している。
同じ研究者グループが発表したもう一方の論文では、検索アルゴリズムの改良にこうしたユーザー情報を利用する方法が論じられている。同研究者グループは、3000件におよぶ検索データと1200万件のユーザーインタラクション情報を分析した結果を用いて、同グループが開発した手法が、ウェブ検索ランキングアルゴリズムを31%向上させることを示した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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