Freescale Semiconductorが、他社に先駆けて磁気を利用したメモリの市場投入を果たした。ただし、この製品は価格が高いため、市販マシンに採用される可能性は当面の間は低いと思われる。
組み込み半導体のFreescaleが米国時間7月10日にリリースした「MR2A16A」は、同社によれば、初めて商用として提供されるMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)だという。
MRAMは従来使われてきたほとんどのタイプのコンピュータメモリよりも情報の読み書きが高速で、Freescaleによると同MRAMの読み書き時間は35ナノ秒だという。またMRAMに記録された情報はコンピュータの電源を切ったあとも消えない。支持者らによると、同メモリは携帯電話やカメラに内蔵されているフラッシュメモリと、コンピュータに搭載されるDRAMの両方に取って代わる可能性があるという。
MRAMでは、メモリセル内の磁場による抵抗値の変化を計測し、情報の基礎単位である「1」と「0」を判断する。
一方、フラッシュメモリでは、セル内の電子の有無で1と0を判断する。一般的には、こちらの方が消費電力が大きくなる。
しかし、FreescaleのMR2A16Aチップは安くない。現在、4Mビットのもので卸売価格が25ドルとなっており、出荷量も限定されている。一方、512Mバイトのメモリは34ドルで販売されている。
調査会社Semico ResearchのBob Merritt氏は声明で、「FreescaleがMRAMの商用化に一番に乗り出した。この技術は、素晴らしい可能性を秘め、市場に大きな影響力をもつものだ。MRAM技術の市販投入で一番乗りを果たすための競争は激しかった。これは大きな功績であり、Freescaleのエンジニアリングチームの熱意を裏づけるものだ」と述べた。
Motorolaの半導体部門だったFreescaleは2004年に分離独立した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス