Intelの最高技術責任者(CTO)は米国時間2月6日、トランジスタの電力効率を高めマザーボードの消費電力を削減する目的で、同社が2種類の技術開発に取り組んでいることを明らかにした。
同社のCTOでシニアフェローも務めるJustin Rattnerは「DesignCon 2006」カンファレンスで基調講演し、開発中の技術の1つが、CPUとキャッシュメモリへの電圧供給に関するもので、もう1つが電圧安定器をトランジスタに集積して効率性を向上させるためのものであると述べた。
Intelは、2003年に90ナノメートル製造技術を発表した際、急増するプロセッサの消費電力を抑制する何らかの対策が必要であることを認識した。Rattnerによると、2004年初頭にリリースされたPentium 4プロセッサ「Prescott」は最大100ワット以上の電力を消費するが、実はそれを上回る計画もあったという。
Rattnerは、「当時は消費電力が200ワットに達するのではないかと思った」と語っている。しかし、200ワットもの電力を消費するプロセッサでは、システムの溶解を防止するための冷却要件が厳しくなるとして、PC業界からは受け入れられなかったという。また、90ナノメートル技術では、従来の製造技術よりリーク電流が増大するため、最大のパフォーマンスを発揮していないときでも熱が発生してしまうという問題もあった。
その結果、Intelはチップの高速化を重視する方針を改め、消費電力が低くて、エネルギー効率のよい製造技術を模索するようになった。同社では、消費電力を最小限に抑えられる全く新しいチップ製造アーキテクチャに2006年末までに乗り換える予定だ。
Rattnerによると、Intelではプロセッサへの供給電圧を分割する手法を実験しているという。この仕組みの下では、CPUとキャッシュメモリにそれぞれに別個の電圧供給機能が提供される。これによりシステムの設計者は、これらのコンポーネントへの供給電圧量を調節するための回路を今日のシステムから排除することができるようになる。その結果、マザーボード上のスペースが空き、消費電力も少なくなると、同氏は語っている。
Rattnerによると、マザーボード上のチップセットなどの各種コンポーネントの消費電力を削減する方法としてもう1つ考えられるのは、デジタル電圧安定器をチップに集積することだという。デジタル電圧安定器は、変化する電圧要件にアナログのものよりも素早く対応できると、同氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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