PalmSourceやFrance Telecom傘下のOrangeなど数社で構成される企業グループが米国時間14日、携帯電話に搭載されるLinuxのさまざまな側面の標準化に向けた取り組みを発表する予定だ。
Linux Phone Standard(Lips)Forumと呼ばれるこのグループは、Linuxインターフェースの標準化を目指している。Linuxインターフェースを標準化することで、携帯電話に搭載される異なる種類のLinuxに対応させるために高度なソフトウェアをカスタマイズするということが不要になる。Lipsの参加メンバーは、標準化が実現すれば、急成長を続ける携帯電話向けオペレーティングシステム(OS)市場におけるLinuxの競争力が強化されると考えている。
「MicrosoftやSymbianに代わる新たなOSが必要だ」と語るのは、Lipsの役員を務めるJohn Ostremだ。Ostremは、China MobileSoftの創設者であり、現在はPalmSourceの主席科学者を務めている。同氏はさらに、「われわれが関心を持っているのは、(Linuxの)分裂状態の緩和と、標準化されたLinuxプラットフォームの導入だ。それにより、Linuxを搭載した携帯電話のユーザーは、より高速な通信をより低価格で利用できるようになり、さらに相互運用性も拡大する」と続けた。
Lipsとしては、当初はベーシックタイプの携帯電話向け標準ソフトウェアのプロファイルを定義し、最終的に高性能機種についても同様に定義したい考えだ。通話と単純なアプリケーションの実行が可能なベーシック機種向けである最初のプロファイルは、2006年第1四半期に完成予定だ。組み込み型ソフトメーカー、Jalunaの幹部で、Lips委員会のメンバーでもあるMichel Gienによると、Lips認定の携帯電話機は2007年に発売予定だという。
携帯電話向けOS市場を切り開くのは容易ではない。PalmSourceは、同社が独自に開発したPalmOSのライセンスをハンドヘルド機器メーカーのPalmに供与していたが、China MobileSoftを買収することにより、Linuxに移行し始めた。そして今度は、日本企業のACCESSがPalmSourceを買収する。現在Palmは、Windowsベースの製品を追加するなど、方針を変更しつつある。
Linux搭載携帯電話の標準化プロジェクトは、今回のLipsで3番目となる。最初プロジェクトのOpen Source Development Lab(OSDL)は、携帯電話機へのLinux搭載の促進とさまざまな機種向けの要求事項の定義に取り組んできた。2番目のプロジェクトであるConsumer Electronics Linux Forum(CELF)は、さまざまな携帯電話プロフィールの定義に力を注いできた。
各企業グループが専門とする領域は微妙に異なっており、それぞれ他のグループの領域を侵さないよう配慮してきた。Ostremによると、現在OSDLはより性能の低いソフトウェアについて取り組んでいるが、CELFの取り組みと重複する部分もあるという。しかし、CELFは主に日本市場に照準を合わせているのに対し、Lipsは主に欧州に狙いを定めている、とOstremは付け加えた。
携帯電話機メーカーのMotorolaは、Linuxベースの携帯電話機を強力に支持しており、同社以外にもLinuxを搭載した携帯電話を支持する企業は多い。例えば、Motorolaほどの大企業ではないが、MontaVista Softwareは、携帯電話市場向けのLinuxを開発した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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