サンフランシスコ発--Microsoftは米国時間15日、これまでの方針を転換し、同社のブラウザのアップデート版を、Windowsの次期バージョンとは切り離して出荷することを明らかにした。
同社チーフソフトウェアアーキテクトのBill Gatesは、Internet Explorer 7のテスト版を今夏に投入する計画を発表した。同社はこれまで、IEの新バージョンを来年デビューするWindowsの次期メジャーアップデート(開発コード名:「Longhorn」)より先に出荷することはない、としていた。Gatesは、この発表を当地で開催中のRSA Conference 2005で行った。
Gatesはこの計画の発表のなかで、ブラウザ自体がセキュリティ上のリスクになっている、という同社以外では以前から話題になっていた問題を認めた。
「ブラウジング機能は、確かに脆弱箇所だ」(Gates)
Gatesによると、IEの新バージョンは、同社が昨年夏に投入したWindows XP Service Pack 2(SP2)搭載のマシンに対応するという。テストバージョンであるベータ版は今夏までには投入される、と同氏は付け加えた。
アナリストは、Microsoftの心変わりについて、ここ数カ月のFirefoxブラウザの躍進が要因だと説明している。Mozilla Foundationの同ブラウザは、徐々にではあるが着実にIEから市場シェアを奪いつつある。昨年暮れに出された調査結果によると、Firefoxのシェア増加により、IEのシェアはブラウザ戦争が最も激しかった1990年代以降初めて90%を割り込んだという。
The NPD GroupアナリストのRoss Rubinは、Firefoxが刺激になったのだろうとの認識を示し、「これは、Longhornの開発の遅れと、Firefoxからの挑戦の両方に対処するための措置だと思う。Firefoxが出てこなかったら、MicrosoftはおそらくLonghorn登場まで何もしていなかっただろう」と語った。
Microsoftが同セキュリティカンファレンスでIE 7の計画を発表することにしたのは偶然ではない。セキュリティ上のバグやフィッシング詐欺、数多くの修正パッチに悩まされてきたIE 6は、数年前からセキュリティ面で評判を下げていた。
Microsoftは昨年、セキュリティに対する不安を和らげるべく、Windows XP SP2を投入したが、これにあわせてブラウザのセキュリティにも多数の変更が加えられた。
しかし批判的な見方をする人々は、SP2はすでにXPを使用しているか、OSを有償でアップグレードした人にしかメリットがなく、Windowsユーザーの約半数は無視された、と主張している。
Microsoftも同日この点を認め、特にWindows 2000を使い続けている企業ユーザーから、こうした指摘が多く出されていると述べた。
「現時点では、われわれはXP SP2に焦点を当てている」と、MicrosoftでIE開発チームを率いるDean Hachamovitchは、15日付けで公開された同社のIE関連のブログに記している。「われわれは、Windows 2000を使用する主要な顧客の意見に積極的に耳を傾けており、彼らが欲しいと考えるものを実現するためには、エンジニアリングおよびロジスティック上でどれほど複雑な作業が必要となるかを割り出しているところだ。この話題について私がいま口にできるのはこれだけだ」(Hachamovitch)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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