ボストン発--Microsoftは、仮想化技術関連の競争激化や顧客からの要望の高まりを受け、一部の技術を予定より前倒しして市場に投入しようとしている。
仮想化というと、今日では一般にコンピュータの効率向上のために1台のマシンで同時に複数のOSを稼働させる機能を指す。この分野は現在大きな注目を集めており、またMicrosoftが他社に後れをとっている分野でもある。IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)でも仮想化技術をサポートする機能をハードウェアに追加し、これを主流の技術にしようとしている。また、この市場で首位を走るVMwareは、価格面でMicrosoftにプレッシャーをかけている。さらに、Linux陣営では、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」を採用することでWindowsとの差を拡げようとしている。
しかし、MicrosoftのMike Neil氏(仮想化技術担当製品部門マネージャー)によると、同社はできるだけ機敏に対応しようとしているという。すでに同社は今週、「Virtual Server」製品を無償で提供すると発表し、人気で上回る「VMware Server」に価格面で張り合う姿勢を明らかにしたが、当地で開催中の「LinuxWorld Conference」で行われたインタビューの中で、Neil氏はそれ以外のいくつかの計画についても概要を明らかにした。
まず、Microsoftは価格設定を変更し、各サーバ上で動作するWindowsの数をかぞえることに不満を抱く顧客の要望を受け入れる可能性があるという。現在「Windows Server 2003」のEnterprise Editionでは、1台のサーバ上で最大4つのWindowsインスタンスを動かすことがライセンスで認められている。仮想化技術を利用すればダイナミックなコンピューティングシステムを実現し、そのなかでバーチャルマシンの新規作成や複製、停止、削除を素早く行えるようになるとされているが、このような流動的な環境のなかでは、Windowsのインスタンスがいくつ動いているかを追跡し続けることは大きな負担になる。
Microsoftは、「Windows Server 2003」の後を受けて2007年に出される予定の「Longhorn Server」(開発コード名)で、同OSの最上位版にあたる「Datacenter Edition」を購入した顧客が、1台のハードウェア上でいくつでもWindowsのバーチャルマシンを動かせるようにしていく。しかし、Neil氏はこの日、同社がこの変更を現行のOSにも加えることを検討していると述べた。
「仮想化技術を積極的に導入し、しかもインスタンスの数について心配したくはないという顧客は、今日はまだほとんどいないが、われわれはそうした要望に応えたいと考えている」(Neil氏)
しかし、Microsoftは仮想化関連の価格設定に関して同社と異なる方針のコンピュータメーカー各社を説得しなくてはならないと同氏は付け加えた。「われわれには提携企業各社とのOEM契約があり、それが課題になる。この状況についてOEM各社を満足させなくてはならない」(Neil氏)
そのほか、「Windows Hypervisor」の投入スケジュールもこれまでより前倒しされる可能性がある。「Viridian」(開発コード名)というこのソフトウェアはOSより深いレベルで動作し、複数のバーチャルマシンのリソースを管理する。NovellやRed Hatは2006年、それぞれのディストリビューションである「SUSE LINUX Enterprise Server」や「Red Hat Enterprise Linux」にXenのハイパーバイザーソフトを搭載し、仮想化技術を標準機能として提供することを計画しているが、Viridianが登場するのは2007年のLonghorn Serverの発売後になると見られている。
Microsoftの幹部は過去に、ViridianはLonghornの最初のバージョンには搭載されないと説明していた。さらに、同社はメジャーリリース投入後18カ月から24カ月ごとにリリースするサービスパックで、大規模なアップデートを行うと付け加えていた。それを踏まえて考えると、Viridianの登場時期は2009年ということになるが、これではオープンソースのXenに比べて本格的なデビューが3年遅れになる可能性がある。
しかし、Neil氏は2009年という言葉に顔をしかめ、Viridianの追加が容易であることから、2008年か、できれば2007年には投入したいと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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