サイボウズは3月23日、ウィルコムと提携して携帯電話事業に参入すると発表した。同日より、10社ほどの企業に向けてテストサービスを開始する。2006年末の商用化を目指す。
サイボウズが提供するグループウェア「Office 6」に、携帯電話からでも安全にアクセスできる環境を整えるのが狙い。サイボウズはウィルコムから回線を借り入れ、端末やアプリケーションなどと組み合わせて顧客に提供する。
サイボウズはグループウェア業界でIBMのLotusNotesに次ぐ2位の座にあり、2005年の市場シェアは25.2%となっている。中小企業向けのOfficeと大企業向けのガルーンを合わせて210万人のユーザーを持つ。
これまでもサイボウズは、グループウェアに携帯電話からアクセスできる機能を持たせていた。しかし、外部からグループウェアに安全にアクセスする環境を構築するには時間やコストがかかることから、この機能を利用するのは顧客の1割にとどまっていた。
サイボウズが提供する携帯電話サービスでは、端末がサイボウズのリレーサーバを介してユーザーの社内に置かれたOffice 6サーバに接続する。リレーサーバとOffice 6サーバの間の通信はSSLで暗号化される。ユーザーはOffice 6サーバにリレークライアントとサーバ証明書をインストールするだけで利用できるため、負担が少ないとのことだ。
パートナーにウィルコムを選んだ理由について、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は、「いろいろな通信事業者に声をかけたが、最も意志決定が早いのがウィルコムだった。また、定額制にも積極的で、ビジネスケータイの実現に協力的だった」と話す。サイボウズは将来的に、ウィルコムのデータ通信モジュール「W-SIM」を使った独自端末を開発したい考えも持っている。
サービス開始1年で2〜3万人の利用者を目指す
テストサービスでは、端末はウィルコムの三洋電機製端末「WX310SA」と日本無線製端末「WX310J」を利用する。テストサービス期間中は端末のブラウザからグループウェアにアクセスする形になるが、商用化の時点ではアプリも提供する考えだ。
テストユーザーはサイボウズが選んだ企業で、参加人数は100〜200名程度。ここでのフィードバックを参考に、商用化を目指す。商用時の料金については明らかにしていないが、付加価値がつく分だけウィルコムの通常プランよりは高くなりそうだ。既存のOfficeユーザーを中心に販売していく考えで、サービス開始から1年で2〜3万人の利用者を目指すとしている。
サイボウズは携帯電話事業に関して、連結子会社で課金請求事業を手がけるインフォニックスと、業務資本提携先で携帯電話向けアプリを開発するゆめみの2社と協業する。インフォニックスが課金請求や顧客サポート、顧客管理などのバックエンドを手がけ、ゆめみはサイボウズ向けのビジネスアプリを開発していく。
ウィルコム以外の通信事業者との提携については、「現時点ではウィルコムのみ」(青野氏)と述べ、ほかの通信事業者との話し合いも続けていく考えだとした。
左からゆめみ代表取締役社長の深田浩嗣氏、ウィルコム執行役員ソリューション営業本部長の瀧澤隆氏、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏、インフォニックス代表取締役社長の淺野浩志氏
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