Sun Microsystemsがデュアルライセンスの採用を検討している。これにより、LinuxとSun「Solaris」オペレーティングシステム(OS)の支持者の間で協力関係が生まれる可能性が持ち上がっており、関心を集めているが、法的問題がその障害となっている。
同社社長Jonathan Schwartzは米国時間1月27日、自身のブログの中で、サーバおよびソフトウェアベンダーであるSunは、現在Solarisが準拠している「Community Development and Distribution」ライセンスに加え、間もなく策定されるGPL第3版の適用も検討していると述べた。
Schwartzは、「LinuxとOpenSolarisの関係を効率化し、互いに実りあるものにするためにできることに取り組みたい」と記し、「『DTrace』と『ZFS』や、『GRUB』と『Xen』の轍は踏まない」と続けた(DTraceおよびZFSはどちらもSolarisの技術で、前者は先進的なパフォーマンス分析を行うもの、後者がファイル保管技術。またGRUBおよびXenは、コンピュータを起動させ、複数のOSを動作させるための技術で、当初はLinuxとともに利用するものとして開発された。Sunは現在、これらをSolarisに搭載している)。
しかし、法的な障害によって、異なるオープンソースソフトウェアが同じ土台を共有することが難しくなっている。LinuxカーネルのプロジェクトリーダーであるLinus Torvaldsは、GPLバージョン2を引き続き採用すると明言している。つまり、SolarisがGPLバージョン3を適用しても、あるプロジェクトのソフトウェアをほかのソフトウェアと連携させられるとは限らないということだ。
McDermott, Will & Emeryの知的財産担当弁護士で、「BlackBerry」のユーザーでもあるBrian Fergusonは、「2つのライセンスの規定が異なれば、相互連携に支障が出る可能性がある」と話す。「別々のライセンスを細分化させていくと、法的な問題が生じる可能性が大きくなる」(Ferguson)
Schwartzは、カリフォルニア州サンタクララに本拠を置くSunが再び勢いと支持を取り戻し、ひいてはその経営状態を改善するため、公式のブログでは慎重な態度を維持しており、同氏に従う人々にも同じことを求めている。Sunでは、Solarisという選択肢を顧客に思い出させるための取り組みの一環として同ブログを運用しているが、同社は近年Linuxに奪われた立場を取り戻そうと、その他にも手段を講じている。すなわち、Solarisをオープンソース化して、Intelの「Xeon」やAMDの「Opteron」といったx86プロセッサを搭載するコンピュータで利用できるようにし、Linuxの成功を模倣しようと試みているのである。
相互連携の実現は、双方のOSに利益をもたらすと考えられている。Linuxは、マルチスレッド型のソフトウェアであるSolarisの特徴を活用できるようになるだろう。一方Solarisは、Linuxがコンピュータに接続する周辺機器を広範にサポートしていることから、恩恵を得られる。
Torvaldsは、一般的にLinuxと呼ばれるオープンソースOSの中核となるLinuxカーネルを管理している。だが、「GNOME」ユーザーインターフェースといった、ほかのプログラマが開発した同OSのその他のコンポーネントの多くがGPLに準拠しており、Torvaldsには管轄権がない。
Schwartzは、オープンソースプロジェクトとプロプライエタリソフトウェアプロジェクトを連携させるのが難しくなるとして、GPLの規定を批判している。とはいえ、Sunの顧客の中にもGPLを好む者は存在しており、GPLが同社の「UltraSparc T1」(Niagara)プロセッサのオープンソースライセンスの主要な競合相手であることを、ブログで認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。 海外CNET Networksの記事へ
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