Microsoftは、同社のインターネット対応腕時計を投入する市場をどうやら見つけたようだ。高齢者に薬の服用時間を知らせる装置として利用する可能性がある。
IntelやMicrosoftのようなIT関連企業やさまざまな研究者が今週、ホワイトハウスが10年ごとに開催する「Conference on Aging(加齢に関する会議)」と題するシンポジウムに参加する。
医療や介護に関連する問題が山積し、多くの費用が必要なため、医療分野は今後、コンピュータ業界にとって主要市場の1つになるだろうと一部の関係者は考えている。Intel医療研究革新グループゼネラルマネージャーEric Dishmanによると、米国の年間国内総生産(GDP)の約16%が医療に費やされているという。もうすぐベビーブーマーが社会の一線から退くようになるため、この数字は25%にまで上がるだろうと同氏は付け加えた。
「ここまでくると支えきれない」とDishmanは述べ、「人口統計学的に津波が起こりそうな気配だ」と付け加えた。
この医療介護費を少しでも抑制するために、遠隔医療テクノロジーが役に立つと考えられている。いくつかのテクノロジーはすでに存在しており、あとは医療コミュニティに取り入れるだけだ。
Dishmanは、例としてMicrosoftの「SPOT」腕時計を挙げ、1日に8種類以上の薬を服用する50人の高齢者が試験的に使用していると述べた。薬物治療コンプライアンスが守られていないこと、つまり看護士が患者に薬を服用するように伝えたにもかかわらず、患者が飲み忘れたことに起因する合併症のために、年間5億ドルが費やされていると同氏は述べた。
しかし、これまでのところ、自動化システムはおしつけがましさが敬遠され、あまりうまくいっていない。自分が助けを必要としていることや、認知症などの病気の治療薬を服用していることが知られてしまうようなテクノロジーを利用する患者は少ないからだ。
腕時計からメッセージが発信されることで、患者は服用時間になったことをさりげなく知らされる。投薬に関する試みとして、患者の服用量を追跡する電子薬箱や、テレビに接続してコマーシャル形式で服用時間を知らせる特別なソフトウェアなどがある。
チップメーカーのIntelは、パーキンソン患者が自宅で身体機能を検査し、その結果をかかり付けの医師に送信できる装置の試験を開始した。これは、検査の回数を増やすと同時にコスト削減につながるとDishmanは述べた。2006年、Intelは80歳の人たち300名を対象にしたある大学の調査に参加する予定だ。同調査は各家庭にセンサーとカメラを取り付け、5年にわたって高齢者を追跡するというものだ。
「われわれは、センサーが認知症の徴候を察知できるかを調べるつもりだ。85歳までには、調査対象の半数が認知症にかかる可能性がある」とDishmanは予測している。
他の国に比べ、アメリカは医療介護分野の基礎研究や新製品に関し遅れをとっている。韓国では、携帯メーカーが、糖尿病患者の血中ブドウ糖レベルを検査できる携帯電話を売り始めた。EUは何億ユーロもの巨費を投じ、高齢者が自活できるツールの開発を進めてきた。
アメリカでは、わずか10万ドルの補助金を得ることさえ難しいと、Dishmanは述べた。そこで政策担当者に対するロビー活動を展開するために、約400の企業と大学が「Center for Aging Services Technologies(高齢者サービス技術センター)」に参加している。
ただし、Intelは医療機器市場に参入しないだろうと同氏は付け加えた。その代わり、これらの医療機器を作るメーカーにチップを供給することになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス