世界中のネットユーザーが、未読メッセージで溢れる電子メールの受信ボックスに頭を抱えているが、Microsoftの研究者らはあるツールを投入し、この問題の緩和に役立てたいと考えている。
同社は先週、新しい方法で電子メールを整理するユーティリティツールを無償で公開した。このツールのユーザーは、受信したメッセージを着信順だけでなく、送信者との関係の深さによっても並べ替えることができるというものだ。
「SNARF(Social Network And Relationship Finder)」と呼ばれるこのプログラムは、人は自分が大切に思っている相手からのメッセージほど、それに答えを返す傾向が強いという事実にもとづいたアプローチを採用している。
Microsoftの研究者の1人で、SNARFを開発したMarc Smithは、「人は全部のメールに返信するわけではないし、反対に全員から返信が来るわけでもない」と述べている。
Microsoftによると、現在SNARFはまだ研究プロジェクトの段階にあるが、同様の機能がもうすぐ電子メール製品に実装される可能性があるという。
Smithによれば、コンピュータはいくら高性能なものでもジャンクメールと親友からのメッセージを区別できないが、それに対して自分の友人を区別して吠えるのをやめることは、彼の飼っている犬でも覚えるという。
「犬が飼い主の友人と他人を見分けられるなら、メーラーにも同じことができて良いはずだ」(Smith)
受信メールが膨大な数にふくれあがるなかで、このような機能が重要性を増している。多くのPCユーザーが新着メッセージの通知を希望する一方で、通知の頻度が多すぎて邪魔されずに仕事をすることがほとんど不可能になっているオフィスワーカーも多い。
「マシンが原因でこのような問題に悩まされるようになった。だから、マシンに責任を持って解決してもらう」(Smith)
Smithは、今日の電子メールでは、送信者に関係なく最新のメッセージが常に先頭に来ることについて、これを「ADD(多動症候群)ソート順」と呼んでいる。もっと良い方法があるはずだと同氏は語る。
友人を見分ける作業はコンピュータには不得手のように思われるが、Smithによると、コンピュータに適切な計算をさせるだけでこの問題を解決できるという。
「コンピュータが素晴らしいのは、その本質は計算機だという点だ。コンピュータは物事を数えることが大得意だ。そして、交友関係は数えることが可能だ」(Smith)
SNARFは、ユーザーがメッセージ本文の特定の内容に関してやりとりした回数や、特に返信が行われる頻度をチェックする。
こうした考え方はとくに新しいものではない。「ソーシャルソーティング」は、Microsoftや他の各社によって何年も前から研究されてきたアイデアだ。たとえば、Hewlett-Packard(HP)の研究者らは、HP Labs内でやりとりされる電子メールの送受信者のパターンを調査し、作業グループを判断するにはこのほうが組織図を調べるより効率的であることを見つけだしていた。
また、Microsoftでも「NetScan」という研究プロジェクトで、ソーシャルソーティングを使いながらユーザーがインターネットの掲示板を効率的に見られるようにしたことがあった。
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