Microsoftは以前から、広告収入で費用をまかなうソフトウェアの提供方法を検討していた。2004年夏のThinkweek向けに用意されたレポートのなかには、消費者向けソフトウェアの売上が減少していることに触れながら、サブスクリプションモデルから広告収入モデルへの移行が、MSNのビジネスにとってはメリットになると示唆する記述が見られる。
さらに新しいレポートでは、広告ベースのビジネスモデルに移行すべきタイミングにあるデスクトップソフトウェアについて、これを特定する多数の要素が概説されている。それによると、該当するソフトウェアには、それが頻繁にオンラインで利用されているかどうか、ターゲットを絞った広告を展開するのに適したデータが集まるかどうか、広告入りソフトにライバルがいるかどうか、などの要素があるという。また、これらの基準をいくつか満たすものとして、Works、Money、そしてOneNoteの各製品の名前が挙がっている。
しかし、Microsoftの社内外からは、MSNの提供するサービスを大幅に上回るものを求める声も出ている。なかでも、最も頻繁に話題になるのがオンライン版のOfficeだ。同社は、過去にもこのような措置について検討したことがあるが、社内の政治闘争や、同社にとって最大のドル箱であるOfficeの売上高を奪うとの懸念から、結局それが実現することはなかった。
同社による広告入りソフトウェアの検討対象は、同社にとって最も重要な製品であるWindowsにも及んでいる。Microsoftの研究者らはThinkweekのレポートで、同製品の利益がユーザー1人につき年間9ドルであることを指摘し、同OSの広告入りバージョンにも理にかなう部分がある、と主張している。
「広告収入からこれに相当する利益を得ることは可能に思えるが、ただしUI(ユーザーインターフェイス)の部分で解決困難な問題がある。ユーザーの邪魔にならないようにOS上に広告を表示させる自然なやり方がないからだ」と同社の社員らはこのレポートに記している。
この問題に関して1つ示唆されているのは、Windowsにローエンド・バージョンを用意し、それに同梱したWorksやOutlook Express、Windows Media Playerなどのプログラムに広告を表示させるという方法だ。しかし、レポートの作成者らは「これらの要素が置き換えられてしまうことを防ぐ方法がはっきりしない」と指摘している。
これまでインターネット上にあった無料のものよりも高価なコンテンツを提供するには、十分に活発な広告ビジネスを生み出すことが1つのカギとなる。これに関するMicrosoftの取り組みの中心となっているが、「AdCenter」という製品だ。AdCenterの当初の役割は、Googleが「AdWords」を通じて配信しているのと同じようなテキストベースのキーワード広告を提供することがが、しかしMicrosoftはAdCenterに関してさらに大きな野心を抱いている。
同社幹部らは、AdCenter--社内では「Moonshot」の開発コード名で知られていた--について、テキストやディスプレイ、ビデオなどあらゆるタイプの広告を配信する手段と見なしている。これらの広告は、ウェブサイトやPC、さらにXboxや携帯電話機など他のデバイスにも配信される。
「PCでブラウザを立ち上げている状態(の時に広告が表示される)だけの話ではない」と同社のJoanne Bradford(chief media revenue officer)は先週行われたインタビューのなかで述べていた。「いまのところはキーワード広告だけだが・・・・今後はディスプレイ広告やビデオ広告など、あらゆるタイプのものを扱いたいと考えている」(Bradford)
MicrosoftがAdCenterで新しい分野を切り開きたいと考えているのは明らかだと、Directions on MicrosoftアナリストのMatt Rosoffはいう。「AdCenterが従来の有料検索広告のプラットフォームを超えるものになることはとてもはっきりしている。Microsoftは文脈に沿った広告というアイデアを借用し、それをかなり広範に適用しようとしている」(Rosoff)
Microsoftにとって、どのタイプの製品を広告入りで提供するかを検討することは理にかなったことだと同氏はいう。
「特にGoogleがそうした方向へ向かいつつあるとたくさんの人が感じていることから、Microsoftがあらゆる可能性に目を向けているとしても、わたしはまったく驚かない」(Rosoff)。たとえば、Moneyはすでにデスクトップソフトウェアとオンラインの部分を組み合わせて使うハイブリッドな製品になっていると同氏は指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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