CNET News.comが入手した情報によると、ライバル各社に対抗するために新たにいくつものオンラインサービスを準備しているMicrosoftが、一部のデスクトップ製品について、広告付きのバージョンを無料で提供する計画を検討しているという。
CNET News.comが入手したMicrosoftの社内文書によると、具体的な計画は今のところ用意されていないものの、同社の幹部らは一部の製品の広告入りバージョンをリリースすることが理にかなうかどうかを検討中だという。検討の対象には「Works」や「Money」、さらにはWindows OS本体まで含まれている。
「ウェブ広告が拡大する一方、消費者向け製品の売上が縮小しているなかで、広告入りのバージョンの提供について検討する必要がある」と、今年はじめに同社幹部にあてて提出されたレポートには書かれている。このレポートは、同社の2人の研究者とMSN部門に所属する1人の社員がまとめた者で、Microsoftが年2回開催する「Thinkweek」の課題として書かれた。Thinkweekは、会長のBill Gatesをはじめとする経営幹部が集まり、同社の進むべき新たな方向性について検討している。
Microsoft関係者は、2005年冬に作成されたこのレポートが本物であることを認めたが、その内容についてはコメントを差し控えた。しかし、あるMicrosoftの情報筋は、これが社内のブレインストーミングで使われた資料だと説明した。
「ソフトウェアを顧客に提供する際のさまざまなモデルを模索しているに過ぎない。これはポリシーでも、計画でもなく、何の決定も下されていないものだ・・・社内の調査部門や業務部門から出された意見に過ぎない」(同情報筋)
Microsoftはここ数週間の間に、Googleなどのライバルに対抗する目的で、自社のネット広告ビジネス拡大に向けたさまざまな手法を示してきた。デスクトップソフトウェアも広告付きで提供するという動きは、たしかにリスクも大きいが、同社にとっては戦いの場を自社の得意分野に移せるというメリットがある。
このレポートは、パッケージソフトウェア--とくに一般ユーザー向け製品の売上減少に対して、Microsoftが懸念を抱いていることを明らかにしている。
同社CTO(最高技術責任者)のRay Ozzieと会長のBill Gatesは、10月末に記した一連のメモのなかで、自社が直面するいくつかのチャンスと課題について概要を明らかにした。Ozzieはあるメモのなかで、Microsoftには広告ベースのソフトウェアへの移行に影響を与える義務があると述べていた。
「われわれが行動を起こさなければ、今のわれわれのビジネスは危険にさらされる。早急かつ断固としてこれに対処しなければならない」(Ozzie)
同社はすでに「Office Live」と「Windows Live」の計画を発表している。この2つは、同社の既存のデスクトップソフトウェアを補完するもので、広告入りで提供される。しかし、Microsoftの社員らは一連の社内文書のなかで、ライバル各社が「PowerPoint」のような人気プログラムの広告入りバージョン投入に踏み切れば、自社も対象製品の拡大を余儀なくされる可能性がある、と主張している。
2人の研究者とMSN Money事業部のJohn Skovronは、2005年冬のレポートのなかで、「競合各社が無償の広告入りバージョンのプログラムをリリースすれば、われわれも追従せざるを得ない」と述べている。
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