政府機関ユーザーがMicrosoftデスクトップソフトウェアの代用となるオープンソース製品に関心を強めており、ソフトウェア業界の大手企業も大挙して「OpenDocument」の支持を表明している。
IBMとSun Microsystemsは米国時間4日、ニューヨーク州アーモンクで会合を開き、オフィス向けアプリケーションにおけるOpenDocument標準ドキュメントフォーマットの採用をいかに促進するかを討議した。「ODF Summit」と称されたこの会合には、一部の業界団体と、OracleやGoogle、Novellを含む、少なくとも13社のテクノロジー企業から関係者が参加した。
こうして大手企業がOpenDocumentに対する取り組みを強化しているのは、各州政府が同フォーマットに関心を示し始めていることによる。例えば、マサチューセッツ州は2005年9月、州政府機関の一部でOpenDocumentを統一的に利用することを決定している。
National Association of State Chief Information OfficersのアソシエイトディレクターJames Galltは米国時間9日、ほかにも多くの州政府機関が同ドキュメントフォーマット標準を採用しようと検討していると述べた。
「当初この取り組みは草の根的かつ小規模だったが、徐々に各州政府や機関に浸透している」とGalltは話したが、どの州がこれを検討しているのかは特定しなかった。
RedMonkのアナリストStephen O'Gradyは、こうした州政府や機関が「Microsoft Office」の代わりとなる製品を求めている一方で、テクノロジープロバイダーらはデスクトップ市場におけるMicrosoftの牙城を揺るがしたいと考えているとした。これらの要因がOpenDocumentの今日の活況をあと押していると、O'Gradyは話している。
ODF Summitにも出席したO'Gradyは、「この分野ではさまざまな動きが見られる」と述べ、「マサチューセッツ州のように、選択肢を増やしてベンダーの活性化を図ろうとするユーザーがいれば、Microsoftの権勢に挑戦するチャンスを狙うベンダーもいる」と続けた。
OpenDocument標準は、ドキュメントの書式設定および保管にXMLデータタグを利用するもので、2005年5月に策定されたばかりだ。正式名称を「OASIS Open Document Format for Office Applications」といい、ワードプロセッサやスプレッドシート、チャートなどのアプリケーションで用いられる。
現時点でOpenDocumentをサポートしている製品は非常に少ないが、O'Gradyはこれを採用する製造会社は今後増えていくと見込んでいる。そうした状況が実際に発生すれば、Microsoftが数十億ドル規模で展開するOfficeには大きな影響が及ぶだろう。
Microsoftは2006年末までに「Office 12」をリリースする予定だが、これをOpenDocument対応とする意向はない。同社のInformation Worker部門ビジネス戦略ゼネラルマネージャAlan Yatesは、OfficeのXMLベースドキュメントとOpenDocumentなどのその他のXMLベースドキュメントの互換性は、サードパーティが実現してくれるものと考えていると語った。
ODF Summitに集ったベンダーはMicrosoftと競合する企業だが、OpenDocumentをサポートすることがすなわち反Microsoftとなるわけではないと、O'Gradyは述べている。
「Office 12は、非常にすぐれたパッケージ製品だ。これでOpenDocumentフォーマットにさえ対応していれば、技術的メリットが増大して競争力も高まったのに、実に惜しい。サポートしたからといって、反Microsoft的ということではないのだが」(O'Grady)
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