Red Hatは34人のプログラマからなる専任チームを設け、次世代ソフトウェアの開発に当たらせることになった。同社はこの活動を通じて、オープンソースコミュニティでこれまで以上に積極的な役割を果たそうとしている。
この動きの背景には、急増する利益を背景に、自社のプログラマを顧客サポート業務から解放し、開発に専念させたいとの思惑がある。同社では今後9カ月でチームの人員数を倍増させる計画だと、新たに最高技術責任者(CTO)に就任したBrian Stevensは説明した。
同氏によると、開発チームには複数の優先事項があるという。その1つは、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」を同社の配布するLinuxに組み込み、顧客が複数のオペレーティングシステム(OS)を同時に動かせるようにすることだ。またデスクトップLinuxを他のOSに代わる費用効果の高い選択肢にすることや、検査ツール「SystemTap」のようなプログラミングツールの成熟度を上げることも含まれている。
「われわれは新しい技術に対応する開発チームを作ろうとしている。これまでインキュベートする環境が与えられなかった素晴らしいアイデアがたくさんある」(Stevens)
Red Hatではこれを機にエンジニアリングに一層力を入れていく。同社はこれまでソフトウェアに変更を加えたい場合も、協力してくれるオープンソースプログラマが集まってから、それを実現していた。しかし、同社では今後は特定の顧客のリクエストに素早く応えていこうとしている。もちろん、それに伴い作業負担が増えることも覚悟の上だ。
「これまでRed Hatと多くオープンソース企業のやり方には大きな違いはなかった。これらの企業では、開発者コミュニティがあるソリューションにたどり着くと、その実装を支援し、ユーザーを開拓する。そして次にRed Hatは、それをパッケージに含め、配布するのだ」とIdeas InternationalアナリストのTony Iamsは言う。「しかし、いまでは必ずしもそうしたプロセスの進展を待つ必要がなくなった」(Iams)
同氏はさらに、Red Hatのアプローチや実装の仕方をオープンソースコミュニティが受け入れないとしても、同社にはお金とユーザーベースの数に物を言わせて開発に関する自社の希望を押し通すだけの影響力がある、と付け加えた。オープンソース開発者との関係維持について知り尽くしているものの、同社は、Xenの開発に重点を置くという選択に対してオープンソースコミュニティで合意が形成されるのを待たずに、自社で開発を進めることになりそうだ。
Red Hatは先ごろ、前四半期に1億6700万ドルの純利益を上げたことを発表し、さらに今後の業績見通しも上方修正した。同社はLinux市場でシェアを伸ばしたが、その多くは基幹製品の「Red Hat Enterprise Linux」の契約増加によるものだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向 けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」