ボストン発--米マサチューセッツ州の州議会議員らは、OpenDocumentを同州の標準ファイルフォーマットとして採用するという先ごろの決定に批判的な態度を示し、注目を集めている同州の取り組みに疑問を投げかけた。
Senate Committee on Post Audit and Oversightの委員長Marc Pachecoは米国時間10月31日に聴聞会を開き、2007年以降は州政府機関のすべての文書をOpenDocumentファイルフォーマットで保管するという決定が下された経緯について調査した。
この政策は、マサチューセッツ州当局Office of Administration and Financeの技術部門であるInformation Technology Division(IT Division)が立案したもので、9月に最終的な決定が下された。
IT Divisionは、OpenDocumentフォーマットを採用した製品を利用すれば、システム同士の相互運用性を確保することができるほか、公文書を長期にわたって保管できると述べている。OpenDocumentフォーマットの仕様は標準化団体OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)によって策定された。
オープンソース製品のOpenOffice以外にも、Sun MicrosystemsのStarOfficeやIBMのWorkplaceなどの商用製品が、現在同フォーマットをすでにサポート、もしくは今後サポートすることになっている。
しかし、生産性ソフトウェア市場を独占するMicrosoftのOfficeは同フォーマットをサポートしていない。そのため、マサチューセッツ州の政策が実行されれば、Microsoftは締め出されることになってしまう。
聴聞会のなかで、Pachecoは同州の決定で懸念される複数の事柄について述べた。同氏は、IT Divisionが単独で政策を決定したとして、同部門の権限に疑問を呈したほか、Microsoft Officeの利用を放棄することで発生するコストについても懸念を表明した。またPachecoは、OpenDocumentが、身体障害者に必要な機能を十分に備えていないとも主張した。
IT Divisionの最高情報責任者(CIO)Peter Quinnと弁護士のLinda Hamelは、OpenDocumentフォーマットの採用が、州における公共利益の最大化につながるとして、Pachecoの意見に反論した。Quinnは、「プロプライエタリなXML」フォーマットを採用したMicrosoft製品ではなく、「オープン」な標準フォーマットを採用すれば、何百年も先の世代が、現在にまで遡って電子文書を参照することができると述べた。
Pachecoは聴聞会のなかで、マサチューセッツ州で公文書の監督を担当するAlan Coteに対し証言を求めた。なお、同州では州務長官William Galvinが公文書に関する責任を負っている。
CoteはIT Divisionの決定は撤回されるべきだとして、これを激しく非難した。OpenDocumentフォーマットの採用は、多くの電子データの損失につながるというのが、同氏の意見だ。
Coteは準備した意見を読み上げ、「この融通のきかない政策は、ベンダーや文書保管プロセスの選択肢を狭めるだけでなく、疑わしくて実績もない、不確かなルールやツールに依存している。これは公共の利益に反する政策だ。この政策が推し進めらられれば、たくさんの公文書が破壊される可能性がある」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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