米ジョージア工科大学(GIT)の研究チームが、デジタルカメラやデジタルビデオカメラによる隠し撮りを防止するための安価な技術を考案した。
GITの大学院生で、研究チームのリーダーの1人であるShwetak Patelによると、彼らの考案した技術は、最高で33フィート(約10m)遠方にあるデジタルカメラを検知し、そのカメラのレンズに目掛けて光線を発射できるという。
この技術を使うと、例えば誰かが、ある製品のプロトタイプや互いに愛し合っているカップルを隠し撮りしても、撮影された写真や映像は、全く使えない状態になる。具体的には、まるで懐中電灯の光を真正面から当てられたようなぼやけた写真や映像になる。
今回、GITの研究グループが開発したのは、デジタルプロジェクターとその上部に取り付けた改造済みビデオカメラで構成される研究所用のプロトタイプになる。ただし、同グループでは、大量生産可能な市販用の装置も間もなく設計する予定だ。同研究グループは、先週東京で開催された「The Seventh International Conference on Ubiquitous Computing(UbiComp 2005)」で、この研究に関する論文を発表した。また、同グループは現在、大手家電メーカーとも接触している。
この技術は、隠し撮り防止装置への応用も可能だが、さらに、デジタルプロジェクターやその他の機器に1つの機能として組み込むことも可能だろう。
この種の技術の開発に取り組んでいるのはGITの研究者らだけではない。例えば大手ハイテク企業のHewlett-Packard(HP)は、遠隔地からある操作をすると、デジタルカメラで撮影した写真がぼやけてしまう技術の特許を申請した。しかし、この技術の場合は、カメラの中に、特別な回路を追加する必要がある。HPやその他の企業はさらに、映像の著作権侵害防止を意図して作られたプロジェクション技術の開発にも取り組んでいる。
この技術は、デジタルカメラの誕生、急速な普及、小型化と共に浮上したプライバシー問題の改善に向けた挑戦といえる。市場調査会社のGartnerによると、現在日本で使用されている全携帯電話に占めるカメラ付き携帯電話の割合はおよそ85%であり、北米や西欧でも2006年末までにカメラ付き携帯電話の割合が8割に達する見込みだという。
調査会社NPD Groupのアナリスト、Steve Bakerは、「これは間違いなく、懸念すべき事項の1つだ。この問題が浮上したのは、カメラが大幅に小型化されてからだ」と述べ、さらに「(この技術は)研究所内で開発された特殊技術だが、ある程度現実世界への応用も可能だ」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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