ロンドン同時多発爆破事件:テロ防止に向けたハイテク業界の取り組み

Michael Kanellos (CNET News.com)2005年07月08日 21時07分

 群集の中からいかにテロリストを見つけ出すか。ロンドンの同時多発テロで浮き彫りになったこの問題の解決に、ソフト開発会社の米Pixlogicが取り組んでいる。

 カリフォルニア州ロスアルトスに拠点を置くPixlogicは、視覚パターン認識や検索技術を使って、既存の静止画像や動画と、監視カメラなどで集められた写真や映像を照合するソフトウェアを開発した。また同ソフトは、数時間のビデオ映像の中から、大きな箱を抱えて歩いている人物や何度も同じ場所に戻ってくるトラックのように、不審に思われる点のみを抽出することも可能だ。

 PixlogicのCEOを務めるJoseph Santucciは、「似ている人物同士を照合するのは妥当な捜査方法といえる」とした上で、「大半の(競合)ソフトは、限られた状況下でしか機能しない」と語った。

 セキュリティツールおよび機密情報収集用ツールは、米国の同時多発テロ事件の発生以来、ハイテク業界が特に力を注いできた分野の1つだが、7日にロンドンで発生した同時多発テロによって、これらの製品を選定し、導入しようという機運が一層高まることが予想される。100%の安全性を保証できる技術は存在しないが、テロに対する防衛技術は着実に進歩を遂げている。

 例えば、すでに様々な情報機関が、Pixlogicが開発した技術のライセンス供与を受けている。Pixlogicへの出資者の中には、米中央情報局CIAが設立したベンチャーキャピタルIn-Q-Telも含まれている。

 In-Q-TelのCEOであるGilman Louieは最近行われたインタビューの中で、「われわれはすでに、100種類強の技術を各国の情報機関に提供しており、各情報機関はそれらの技術を積極的に活用している」とし、さらに「(それらの技術の中には)よく知られている技術もあれば、広く宣伝されていない技術もある」と述べた。

 ロンドンで発生した爆破テロのような事件の防止に役立つ技術、あるいはテロの容疑者逮捕に役立つ技術は多岐に渡るが、これらの技術は2〜3の基本的カテゴリーに分類できる。

翻訳

 世界各国の情報機関は、多くのテロ組織が使用するアラビア語などが話せる人材の不足に悩まされ続けている。これらの言語は翻訳するにも多大な時間を要する。

 そこで、これらの問題を解決するため、Language Weaverはアラビア語や中国語など数カ国語を動的に英語に翻訳できる機械翻訳ツールを開発した。同社はこのツールの販売プレゼンテーションの中で、オンエア中のAl-Jazeera放送の英語原稿を作成して見せる。

 Language Weaverは、2005年中に同ツールのペルシア(ファルシ)語版もリリースする予定だという。

 Language WeaverのCEO、Bryce Benjaminは「かつては干し草の中の1本の針を探すようなものだった。だが、今では干し草畑にある1つの干し草の山の中から1本の針を見つけ出そうとしている状況だ」と述べ、さらに「自動化ツールの入手に注目が集まっている」と語った。

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