現地時間20日に行われた欧州連合(EU)のソフトウェア特許指令の採決に対し、抜け穴が全く塞がれていないばかりかその穴がさらに広がった可能性がある、との批判の声が上がっている。
企業による「純粋な」ソフトウェアに関する特許の取得を禁じる修正案のほとんどは、欧州議会(European Parliament:EP)の司法委員会が20日に行った投票で却下された。
ソフトウェア特許への反対運動を展開しているFoundation for a Free Information Infrastructure(FFII)はソフトウェア特許指令の修正案のうち、今回可決されたものについて、「computer-implemented invention(コンピュータを使った発明)」を「computer-aided invention(コンピュータを用いた発明)」に置き換えるなど、単に言い回しを変えているに過ぎず、象徴的価値しか持たないと批判している。
欧州議会緑グループのEva Lichtenberger、Monica Frassoniの両議員は声明の中で、ソフトウェア特許指令に関わる全ての組織/団体は「純粋な」ソフトウェアに対する特許に反対だと主張しているが、指令が法的に曖昧なため、そのような特許を許すことになりかねないと主張している。
LichtenbergerとFrassoniは、「政治団体は例外なく、指令から『純粋な』ソフトウェアに対する特許が除外されることを望んでいるが、司法委員会の過半数を占める大企業寄りの委員らが危険な抜け穴を作ることに成功した」と述べ、さらに次のように続けた。「例えば、ソフトウェアと技術の違いの定義によると、ソフトウェアは発明における新たな特徴とみなすことが可能だという。従って特許の対象となるのだ」
両議員は、「(現在のままの指令では)大企業が(高給取りの特許専門弁護士の力を借りて)欧州市場を独占し、より小規模な企業を市場から締め出すことも可能だ」と警告する。
Michel Rocardが起草した法案であれば、発明品に特許が与えられるのは、その動作にソフトウェアが利用される場合に限られ、発明品が「純粋な」ソフトウェアだけで構成されている場合には特許は与えられないということが明確になっていただろう。
相互運用性に関する規則も激しい批判を浴びた。相互運用性に関する条文を最悪の条文と批判するFFIIは次のように述べている。「相互運用性の実現に必要な技術の特許は、合理的かつ非差別的(reasonable and nondiscriminatory:RAND)条件の下に置かれる。そのため相互運用性の実現を目的とした行動が常に許されることを保証する一文が欠落している」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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