Adobe Systemsは20年もの間、Microsoftの攻撃をうまくかわしてきたが、いまMicrosoftは少しずつAdobeに狙いを絞りはじめている。
Adobe(本社:カリフォルニア州サンノゼ)は、Microsoftが創業7年めを迎えた1982年に設立された。同社はそれ以来、画像編集ソフトウェアと電子文書の市場で圧倒的なリードを築いてきた。これらは、MicrosoftがPCのソフトウェアで独占に失敗した数少ない分野となっている。
Microsoftは先週、グラフィックデザインツール「Acrylic」のテスト版をリリースし、また電子文書フォーマット「Metro」のデモを行った。この動きは、進行中のMacromedia(および同社のFlashとFlex)の買収によって縄張りを侵略してくるAdobeに対し、Microsoftが我慢できなくなりつつあることを示唆している。Flexは、ウェブベースのアプリケーションを構築するためのフレームワーク。
Adobeは特に、自社のPDFとMacromediaのFlashを組み合わせることで、大きな影響力を発揮できると、アナリストは述べている。
Burton GroupアナリストのGary Heinは、「MicrosoftはすでにFlashが単なる目障りな存在以上のものになったと感じているふしがある。Metro、Avalon、およびAcrylicなどの発表は、同社がAdobeとMacromediaの連合軍を一段と深刻に受け止めていることを示すものだ。(AdobeのCEO、Bruce)Chizenにとって憂慮すべき事態だ」と語っている。
ウェブアプリケーションを構築するための技術の市場は、非常に流動的な状態にある。Microsoftは、LonghornでWindowsアプリケーションをインターネットに密接に統合するというビジョンを思い描いていたが、度重なる計画の遅れによって、FlashやAJAXなどの代替技術が台頭するのを許してしまった。
Adobeは、進行中のMacromedia買収が与える戦略的な影響についてコメントを控えている。しかし、Macromediaは、MicrosoftのOSと競合するという考えは「ばかげている」としている。
Macromediaのチーフソフトウェアアーキテクト、Kevin Lynchは、「FlashがWindowsの脅威になるとは思えない。われわれは、Microsoftと比べれば非常に規模の小さい会社だ。Flashはインターネット上での利用やインターネットアプリケーションだけを考慮して設計されており、OSとは大きく異なるものだ」と述べている。
ただし、Flashの戦略的重要性について違った見方をするアナリストもおり、なかにはFlashをInternet Explorer(IE)の登場以前にウェブがWindowsに与えた脅威にたとえる者もいる。IEは、Microsoftが防衛手段として10年前に投入し、最終的には成功を収めたブラウザだ。
「FlashがOSの直接の脅威にはならないという意見には同意するが、しかしデベロッパーツールなどOSの一部にとっては脅威だ。Netscapeはその昔、アプリケーション開発をすべてブラウザ内で完結できればOSは不要になるといっていたが、Flashにもそれに似たところがある」(Hein)
Microsoftが直接の脅威と見なしたNetscapeとは異なり、AdobeはMicrosoftが無視しがちな分野を独占することで、何年も利益を得てきた。だが、これからは違う。
Macromediaと提携するコンサルティング会社Adaptive Path(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)のコンサルタント、Jesse Garrettは「AdobeはMicrosoftと競合する運命にある。AdobeがMacromediaを買収すれば、同社はMicrosoftにとってこれ以上無視できない存在になる」と語っている。
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