フロリダ州オーランド発--Microsoftは米国時間7日、複数のオペレーティングシステム(OS)を稼働させるための、Windowsベースの「hypervisor」ソフトウェアについて、詳細を明らかにした。
MicrosoftのWindows Server部門シニアバイスプレジデントBob Mugliaは、同社が現地で開催しているTech Edカンファレンスに出席し、同hypervisorソフトウェアは「Windows内部に組み込まれ、複数のOSの仮想化を実現する」と発表した。
hypervisor計画に関しては、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerが、4月に同社が催したManagement Summitカンファレンスで初めて口にしている。hypervisorソフトウェアは、1台のコンピュータ上で複数のOSを動かすためのもので、コスト削減を目的としてサーバを統合したり、1つのシステムを最大限に活用したりするのに有用だ。
Mugliaによれば、同hypervisorソフトウェアは、2007年に「Longhorn Server」に続いてリリースされるという。また、2006年にはIntelおよびAMDから出揃う仮想化技術をサポートする見込みだ。
同ソフトウェアはMicrosoftの既存の「Virtual Server」製品とは異なるものだと、Mugliaは話している。Virtual ServerはWindows上で稼働し、複数のWindowsセッションを実行するものだ。最近では、Linuxやその他のOSも稼働させられるように、アップグレードが施された。
一方のhypervisorソフトウェアは、Windowsに直接組み込まれる。Mugliaはこれに関して、「Microsoftは、ハードウェアの上部にhypervisorを置いて、CPUやメモリといったリソースを仮想化し、同ソフトウェアがOSセッションを生成できるようにする予定だ」と述べている。
Mugliaはさらに、「こうしたセッションのうちの1つが、仮想スタックを持ち、デバイスの割り当てや、仮想セッションの開始/停止を行う」と説明する。また、「これには簡易版のWindowsが搭載され、この簡易版WindowsがWindowsやLinuxなどの他のセッションをコントロールする。SolarisやLinuxなどx86ハードウェア上で稼働するものには対応する」と語った。
Apple Computerが今後はIntelチップを使用すると発表したばかりだが、Mac OSも仮想化できるのだろうか。この問いにMugliaは、「それはまだ何とも言えない。AppleのCEOであるSteve Jobsには、Mac OSをMac以外のハードウェア上で動かせるようにするつもりはないようだ。彼の意図が現時点で何を意味するかさえ、わたしには分かりかねる」と答えている。
Microsoftではまだ、このソフトウェアをどういう形で販売するかを決めていない。この点についてMugliaは、Longhorn Serverの発売後に出されるサービスパックに同ソフトウェアを含める可能性もあると説明した。
この分野でMicrosoftと競合する製品には、オープンソースのXenがある。Xenは、Sun MicrosystemsやHewlett-Packard、Novell、Red Hat、Intel、AMD、IBMの各社がサポートを表明している。Xenは現在のところ、Windowsをサポートしていない。
加えて、VMWareは先頃、既存の仮想化ソフトウェアの機能を拡充した。またIBMも2月に、Research Hypervisor(rHype)というソフトウェアのソースコードを公開している。
Mugliaは、どういった点がユーザーが訴求するのかについて、仮想化ソフトウェアは比較的新しい分野の製品なのでまだ分からないという。「この分野の製品の重要性は今後増していくだろう。しかし、こうした技術の利用はまだ始まったばかりだ」(Muglia)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」