Orion Multisystemsという新興企業が、エンジニアやグラフィックデザイナー、生物学者らをターゲットにした、96基のプロセッサと192Gバイトのメモリを搭載するワークステーションを出荷し始めた。
Orionはクラスタワークステーションの専業メーカーだが、同社のつくるコンピュータは複雑なタスクを分解し、複数のプロセッサに割り当てることで、同時に処理できるようになっている。クラスタはここ数年サーバの分野で人気が高まっている技術。ただし、デスクトップマシンにクラスタ技術を導入した例はこれまでなかった。
Orionは2004年10月に、12基のプロセッサを搭載するデスクトップクラスタの出荷を始めており、これまでに30〜40社の顧客を獲得していると、同社創業者のColin Hunterは言う。このマシンの購入先のなかには、米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)やロシアの石油会社2社、NASAのJet Propulsion Laboratoryなどがある。なお、NASAの同研究所では96ノードのワークステーションについてテストを進めているという。
今回出荷が始まった96プロセッサ搭載ワークステーションは最低価格が10万ドルとなっているが、Hunterはこの種の計算処理能力を手軽に利用したいと考える科学者の数が今後増加すると述べている。たとえば、新薬の開発者が複雑なシミュレーションを行う必要がある場合、現在はサーバルームにおかれたクラスタの利用時間を予約しておく必要がある。
Orionは今後、さらに多くのプロセッサや大量のメモリを搭載し、64ビットチップ対応のソフトウェアを動かせるモデルや、もっと高速で動作するチップを積んだモデルを投入する可能性が高い。
また、Microsoftも2005年秋にクラスタシステム向けのWindowsを発売することになっていることから、これらのマシンに搭載するソフトウェアの選択肢も増えていくものと考えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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