顧客にオンデマンド方式で自社製ソフトウェアアプリケーションを提供すべきか検討する企業が多い中、SAPはアプリケーションホスティングサービス市場に参入する計画が全くないことを、米国時間14日に明らかにした。
SAPの経営幹部らは、カリフォルニア州パロアルトにある自社オフィスで開いた記者会見の席上で、アプリケーションホスティングから、ライバルのMicrosoftやOracleに対抗するための戦略に至るまで、さまざまな話題について見解を述べた。OracleによるPeopleSoftの買収を受けて、SAPは以前より厳しい競争に直面している。また、北米市場の覇権をめぐるライバル各社との争いも熾烈化している。
SAPのCEOであるHenning Kagermannは、「オンデマンドアプリケーションが登場したとき、われわれはこれに対し慎重な態度をとるべきだと感じた。オンデマンドは、将来に通じる顧客ロックイン戦略ではない。オンデマンドアプリケーションサービスにより、顧客は自らの運命を第三者へ委ねることとなる。そして2年〜3年後、自らの運命を取り戻せないことに気が付く結果となる」と述べた。
SAP幹部らは、オンデマンドのアプリケーションサービスプロバイダがプログラムの修正に対応しない場合、そのサービスを利用する顧客はビジネスのやり方を変更したり、業務改革を行ったりすることができなくなる可能性があると、強調した。SAPでは、アプリケーションが稼働するシステムの所有を可能にする仕組みと、オンデマンドでホスティングするアプリケーションの選択を可能にする機会を顧客に与えたいと考えている。
「ホスティング会社になるつもりはない」とKagermannは述べた。
同社幹部らのコメントは、Prudential Financialが米国時間14日に発表した報告書と矛盾する。PrudentialのアナリストBrent Thillは報告書のなかで、SAPがSalesforce.comに対抗するため、サブスクリプション方式のソフトウェアサービスを準備していると述べていた。
「SAPがまもなく--早ければSapphire '05 Copenhagenにおいて4月27日にも--CRMアプリケーションのホスティングサービスを発表すると、われわれは予測している。このサービスはサブスクリプションベースの課金体系の下で提供されるだろう」とThillは報告書の中で述べている。
Thillによると、SAPの新サービスは、企業におけるセールスリードと顧客情報のトラッキングを支援する仕組みになっているという。Thillは、SAPがこの計画の噂を認めることはしないだろう、とも述べていた。
「時間の経過に伴い、SAPのCRMアプリケーションのホスティングサービスは、Siebel SystemsのCRM OnDemandを抑え、企業セグメントにおけるSalesforce.comの快進撃にも陰りをもたらすと、われわれは考えている」とThillは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス